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技能実習生の失踪【ペナルティと防止策】

技能実習生の受入れを検討されている企業様から「技能実習生の失踪」に関するご相談をいただくことがあります。外国人技能実習制度にまつわる報道で「失踪」に関するものが多く取り上げられるため、気になる企業様も多いことでしょう。
関連情報:技能実習の問題を徹底解説!事例と解決策をご紹介

出入国在留管理庁の統計によると、2024年の技能実習生の失踪者数は6,510人で、2023年に比べ33.3%減少しています。これは関係各所の取り組みの成果といえますが、技能実習生の受入れ人数は増加しており、それに比例し、失踪者数も依然として多い状況が続いています。

今回は、技能実習生が失踪する原因、受入れ企業へのペナルティの有無、失踪防止策、万が一失踪してしまった際の対応について解説していきます。

実際にあったトラブルをご紹介 技能実習生のトラブル&対応策

この資料でわかること
・技能実習生のトラブル事例
・トラブル事例ごとの対応例
・トラブルの原因と対応策
・技能実習生の相談記録と対応例
目次

外国人の不法残留者数

技能実習生が失踪をすると、「不法残留者」という扱いになります。技能実習生は特定の企業で実習を行うことを前提に在留許可を得ていますので、失踪すると不法残留者になってしまうのです。

2025年1月1日現在での日本における不法残留者数は7万4,863人で、技能実習生は1万1,504人となっています。不法残留者における「技能実習」の割合は約15%を占め、在留資格別では「短期滞在」に次ぐ多さとなっています。

【出典:出入国在留管理庁】

技能実習生は日本全体で45万6,595人(2024年末)おり、在留資格別では2位となっています。
技能実習生の数が多いため、比例して不法残留者数で占める割合も高くなっていると考えられます。

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外国人技能実習生が失踪する原因

技能実習生の失踪には、受入れ企業に原因があるケースと、技能実習生側に問題があるケースがあります。
それぞれについて見ていきましょう。

受入れ企業に原因があるケース

受入れ企業に原因があるケースでよくあるのが技能実習生への暴力です。

実習現場で手を挙げる、大声でどなりつけるなどの暴力もあれば、国籍や宗教、肌の色や性別による差別も暴力といえるでしょう。このような暴力により肉体的にも精神的にも追い詰められ、失踪してしまうというケースがあります。

お金を原因とする失踪も多く見られます。残業代の未払いなど労働基準法に関わる問題や、賃金設定の低さによる失踪です。

制度上は最低賃金以上であれば雇用できますが、最低賃金の場合、地方によっては給与から税金や社会保障、家賃等を控除すると手取りで10万円以下となることもあります。SNSなどで他の実習先と給与を比較し、あまりの手取りの少なさにより失踪するというケースがあります。
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技能実習生に原因があるケース

技能実習生に原因があるケースでも、お金に関する問題が大きな要因となっています 。

技能実習生は日本に入国する前に、母国の日本語学校で約半年間日本語教育を受けます。通常であれば、借金をして入学したとしても、日本の実習生活で十分返済できる金額に収まるはずですが、まれに紹介料などを請求するような送出機関があり、多額の借金を背負ってしまうことがあります。
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各送出国でもそういった送出機関を排除するための対応は行われていますが、多額の借金を背負って来日したものの返済の目途が立たず、やむを得ず高い給与を求めて失踪し不法就労をするというケースがまだ存在します。

失踪した時の企業へのペナルティ

万が一技能実習生が失踪してしまった場合、受入れ企業にはどのようなペナルティがあるのでしょうか。

失踪数が多い場合は受入れ停止処分も

技能実習生が失踪した場合、受入れ企業に責任があるとされた時は、技能実習生の新規受入れが停止されます。失踪したら即ペナルティ、というわけではなく、様々な要因を鑑みた結果、処分が下されます。技能実習法や労基法等に違反していた場合は、技能実習生の失踪に関わらず処分が下されることになります。
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優良認定に黄色信号

技能実習制度で優良認定を得ると、受入れ人数枠の拡大や実習期間の延長など様々なメリットがもたらされますが、失踪者を出してしまった場合は、この優良認定に影響します。失踪者を出す受入れ企業は技能実習を行う上で何らかの問題がある、と判断されるのです。

優良認定の基準は、ポイント制になっており、150点満点中6割の90点以上をとれば、優良となります。
失踪に関する項目は以下の通りです。

  • ③法令違反・問題の発生状況
  • Ⅱ 直近過去3年以内における失踪がゼロ又は失踪の割合が低いこと(旧制度を含む。)
  • ・ゼロ : 5点
  • ・10%未満又は1人以下 : 0点
  • ・20%未満又は2人以下:-5点
  • ・20%以上又は3人以上:-10点
  • Ⅲ 直近過去3年以内に責めによるべき失踪があること(旧制度を含む。)
  • ・該当 : -50点
  • (技能実習機構 優良要件適合申告書より引用)

Ⅱの項目では、失踪者がゼロの場合は5点の加点となり、失踪者がいる場合は減点となります。またⅢの項目では、企業側の責任で失踪した場合、50点の減点となります。

企業側の責任とは、各種の法令違反行為や人権侵害行為等が該当します。50点の減点となれば、優良の認定を得ることが非常に難しくなります。

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特定技能人材・育成就労の受入れに影響も

技能実習生の失踪者を出してしまった場合、特定技能人材の受入れにも影響がでます。

特定技能人材の受入れには様々な要件がありますが、その中に「1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと」(出入国在留管理庁:外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組)という項目があります。法令違反行為や人権侵害行為等が原因で失踪者を出してしまった場合、特定技能人材の受入れができなくなってしまうのです。
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また、2027年より4月から始まる育成就労制度においてもさらに厳しいコンプライアンス遵守が求められますので、技能実習生の失踪は、育成就労人材の受入れにも影響を及ぼす可能性があります。

法務省による技能実習生失踪防止策

技能実習生の失踪問題に対し、法務省は失踪の防止策を発表しています。

失踪技能実習生を減少させるための施策

【出典:出入国在留管理庁】

外国人技能実習生失踪防止策

法務省は、失踪の防止策として以下の4点を挙げています。

  • ①不適切な監理団体・実習実施者等を制度に関与させないための施策
  • ・ 失踪者を出した送出機関・監理団体・実習実施者に対し、帰責性等を踏まえて技能実習生の新規受入れを停止
  • ・ 相手国におけるブローカー対策を促すなど、二国間取決めに基づく対応の強化
  • ②実習中の技能実習生を失踪させないための施策
  • ・ 失踪技能実習生を雇用した企業の刑事告発及び公表
  • ・ 特定技能の調査に併せて、技能実習生からも処遇状況(賃金等支払状況や人権侵害の有無)についてヒアリング
  • ③失踪した技能実習生の不法就労を防止する施策
  • ・ 失踪をさせた企業から失踪先等に係る情報収集の強化
  • ・ 在留カード番号等を活用した不法就労等の摘発強化
  • ・ 失踪技能実習生の在留資格取消しの強化
  • ・ 失踪技能実習生に係る情報の関係省庁との共有
  • ④その他
  • ・ 失踪・死亡事案発生時の速やかな実地検査等の実施
  • ・ 制度の厳格化について入管庁から監理団体に対して直接周知
  • ※上記①〜④の施策の実施に併せて、技能実習生に対する支援制度の周知徹底も行う。
    (出入国在留管理庁「失踪技能実習生を減少させるための施策」より引用)

国を挙げて、技能実習生の失踪問題に取り組んでいることがわかります。
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技能実習生の失踪を防止するには

技能実習生の失踪を防止するには、法の整備を待つだけでなく、受入れ企業でも対策していく必要があります。ここでは、受入れ企業が行うことのできる失踪防止策について解説します。

技能実習生の借金返済計画を確認

技能実習生の失踪を防止するためには、まず技能実習生が抱える借金の額を把握しましょう。

技能実習生は送出機関に借金をして来日することがほとんどです。受入れ企業は技能実習生の借金と返済計画を把握し、返済可能であることを確認しましょう。技能実習生に返済可能であることを説明することで、将来の不安を払拭することができます。

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技能実習生の相談体制を整える

技能実習生はSNSなどで賃金の比較をし、不安を抱くケースもあります。また職場での人間関係や職場環境に悩んでいることもあります。

技能実習生が安心して相談できる環境を整えることは、失踪を防止するだけでなく、技能実習生のやる気を維持することにも繋がり、職場環境が改善されれば日本人従業員にもよい効果が期待できます。

 技能実習生の相談を受け止め、実際に環境改善に取り組むことで、風通しのよい実習先となることでしょう。また、日頃技能実習生たちが何を考えているのか、どう感じているかを知ることができれば、さらなる環境改善にも役立ちます。
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監理団体を厳選する

技能実習生の失踪を防止するためには、監理団体の選定も重要です。

技能実習生が失踪する要因の多くは、母国での高額な借金です。送出各国で認定の下りた送出機関であっても、技能実習生に多額の借金を背負わせるというケースがまれにあります。

送出機関の選定はほとんどの場合監理団体に委ねられますので、優良な送出機関と提携している監理団体を選ぶことが大切です。
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監理団体の選定は、技能実習生の安全・安心を守る上で非常に重要な要素です。慎重に選びましょう。

育成就労制度では転籍可能

2027年4月より、技能実習制度は育成就労制度に順次移行していきます。

技術の移転を目的とする技能実習制度では、技術修得の効率を重要視することから実習先の変更は原則認められませんでしたが、人材の育成と人手不足の解消を両立させる育成就労制度では、一定の条件のもとでの転籍が認められるようになります。

転籍が柔軟に行われるようになることで、失踪防止に役立つと期待されていますが、長期の受入れをお考えの企業様は、これまで以上に選ばれる環境作りが求められます。定期的な面談や日本語の学習支援など、将来を見据えたサポート体制を構築しましょう。

技能実習生が失踪した時の対応

もし技能実習生が失踪してしまった場合、どのような対応を取れば良いのでしょうか。

監理団体へ連絡

技能実習生が失踪してしまった場合、すぐに監理団体へ連絡しましょう。

監理団体は状況を把握し、受入れ企業と共に技能実習生を探します。必要に応じて送出機関や母国の家族とも連絡を取り、行き先の心当たりや失踪前の様子等も確認します。

警察に捜索願

事故や事件に巻き込まれているケースもありますので、警察に相談し、捜索願を出しましょう。

寮などの状況を確認

寮に立ち入り、状況を確認しましょう。 また、同僚や技能実習生に話を聞き、失踪前後の様子を確認しましょう。

技能実習機構に「技能実習実施困難届出」を提出

技能実習生が失踪して職場に戻らない場合、技能実習機構に「技能実習実施困難時届出」を提出する義務があります。監理団体と相談し、戻る見込みがなければ提出しましょう。

技能実習生の退職手続き

実習実施困難時届出を提出した後に、技能実習生の退職手続きを行います。

失踪するまでの最後の給与を本人の口座に振込み、社内規定に基づいて退職の手続きをしましょう。社会保険や年金などの資格喪失手続きも必要です。
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まとめ

技能実習生の失踪は、受入れ企業の問題もありますが、多くのケースは母国で背負う多額の借金が原因です。失踪を防止するためには、適切な送出機関と監理団体と付き合うことが重要となります。信頼できる監理団体を選びましょう。

また企業様におかれましても、生活指導員の方を中心に、監理団体とも相談しながら技能実習生にとって働きやすい環境を整備していきましょう。

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