近年、技能実習生の受入れ企業の行政処分の件数が増えていることをご存じですか?
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【実習実施者が知っておくべき法律の話】
- この資料でわかること
- 労働安全衛生法
- 労働基準法
- 技能実習制度の厳罰化
- 法令違反の事例
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行政処分を受けた受入れ企業の数
2017年に技能実習制度が新しくなり、監理団体は「許可制」、実習実施者である受入れ企業は「届出制」となりました。
外国人技能実習機構による監査も行われるようになり、監理団体、実習実施者共に不正があった場合は行政処分が下されるようになりました。
2018年以降の、技能実習機構による企業に対する行政処分件数は以下の通りです。
- 平成30年(2018年):4件
- 平成31年(2019年):4件
- 令和元年(2019年):10件
- 令和2年(2020年):66件
- 令和3年(2021年):157件
- 令和4年(2022年)7月現在:84件
平成30年~令和4年7月現在 累計:325件
件数をご覧いただくとお分かりの通り、令和2年以降の行政処分の件数が急激に増加しています。
これは、違反する企業が増えたというよりも外国人技能実習機構の不正に対する取組みがかなり強化された結果だといわれています。
行政処分の一例
「行政処分」と言っても内容は多種多様で、事例の中には「これも違反?」と戸惑ってしまうものもあります。
企業様に対して下された【許可の取り消し処分】の公表例を見てみると・・・
- ◆技能実習生の旅券を保管していたことから、技能実習法第16条第1項第7号(同法第48条第1項)に規定する認定の取消事由に該当。
- ◆認定計画に従って技能実習を行わせていなかったこと、及び認定計画に従って賃金を支払っていなかったことから、技能実習法第16条第1項第1号に規定する認定の取消事由に該当。
- ◆4日以上の休業を要する労働災害が発生したにもかかわらず、遅滞なく労働者死傷病報告を提出しなかった。
- ◆労働者に対し違法な時間外労働を行わせた。(1ヵ月当り最長100時間の限度時間を超え最長167時間の残業)
- ◆労働安全衛生法違反により罰金の刑に処せられ、出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたと認められることから、技能実習法第16条第1項第3号(同法第10条第9号)に規定する認定の取消事由に該当。
- ◆外国人技能実習機構の職員に対し虚偽の帳簿書類を提示したこと、及び虚偽の答弁をしたことから、技能実習法第16条第1項第5号に規定する認定の取消事由に該当。
- ◆無資格の労働者にクレーンの玉掛け作業を行わせた。(鉄板を束ねた荷を玉掛けし、天井クレーンでつり上げ作業をさせていたところ、鉄板の束が荷崩れを起こし、落ちてきた鉄板に突き飛ばされて地面に頭を打ち死亡する労災が発生)
以上のようなものが挙げられます。
処分の厳格化~これも違反?
これらの事例をご覧になってみなさまはどのように感じられますか?
死亡事故となってしまったケースは取り消しも仕方ないと思いますが、「パスポートの預かり」でも許可取消しとなっています。
「たったそれだけのことで?」と思われるかもしれませんが、旅券の預かりは技能実習制度で定められた違反行為ですので、「軽微なこと」という安易な考えでは済まないということを理解しなければなりません。
このように日本国内で「行政処分」が下されている一方で、現在、最も多く実習生を日本に送り出しているベトナムでも異変がおきています。
送出し国でも厳格化
技能実習生の面接を希望する候補者を募集し、面接合格後に合格者に対して日本語や文化などの教育を行っている「送り出し機関」に対して、ベトナム労働局が活動ライセンスのはく奪処分を行っています。
2021年には33社がライセンスを失い、送り出し機関として活動が出来ない状況になっております。
この現象も、日本での違反取締強化と何らかの関係があるかもしれません。
これだけ多くの機関がライセンスをはく奪された明確な理由は不明ですが、今後もベトナム国内での監査体制は強化されていくようで、日本でもベトナムでも、法律を遵守するという動きが強化されていく事は間違いないようです。
正しい制度運用のために
時代の流れと共に様々な事が変化していきますが、技能実習制度でも大きな変革が起きているようです。
以前にも増して「労働基準法」や「入管法」「技能実習法」などの法規を理解し、遵守していかなければ、技能実習制度を継続的に活用することが出来ない時代になってきたという事です。
「自分の会社は大丈夫」「このくらいなら問題ない」というような遵法意識の低さが許可取り消しに繋がった事例を踏まえて、受入れ企業のみなさまには、改めて自社の現状をご確認いただき、健全で継続的な技能実習制度の活用を行っていただければ幸いです。