昨年10月、外国人技能実習機構より、技能実習生が自国(中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ)へ帰国した後の就職状況などを把握するために実施した「平成30年度・帰国後技能実習生フォローアップ調査」の結果が公表されました。
この調査は、技能実習を修了し帰国した技能実習生について、帰国後の就職状況や職位の変化、日本で修得した技術・技能・知識の活用状況などを把握することを目的として毎年実施されています。
平成30年度の調査対象は、技能実習2号を修了した技能実習生のうち平成30年8月から11月までの間に帰国(予定を含む)した19,468人で、うち5,257人の有効回答がありました。
技能実習期間を通じて学んだことが「役に立った」と回答した人は98.2%(昨年度96.9%)にのぼりました。
具体的に何が役に立ったのかという質問に対して、「修得した技能」が75.3%(昨年度73.2%)と最も高く、「日本での生活経験」が68.5%(昨年度64.9%)、「日本語能力の修得」が68.3%(昨年度66.2%)でした。
帰国後の就職状況について「雇用されて働いている」が22.2%(昨年度22.0%)、「雇用されて働くことが決まっている」が9.1%(昨年度13.7%)、「起業している」が15%(昨年度16.3%)と、帰国後になんらかの職につく、ついていると答えた人の合計は46.2%(昨年度52.0%)でした。
従事する仕事の内容は「技能実習と同じ仕事」が48.2%(昨年度49.9%)、「実習と同種の仕事」が19.8%(昨年度19.8%)と、日本で得た技術を活かした職についていると回答した人が合計で68%(昨年度69.7%)でした。
日本在留中にコミュニケーション以外で困ったことがあったかどうかは、「困ったことはなかった」と回答した人が75.3%(昨年度75.5%)でした。「困ったことがあった」と回答した人の具体的な内容は、「家族と離れて寂しかった」が61.8%(昨年度61.7%)で最も多く、次が「残業が少ない」で31.4%(昨年度29.3%)でした。
昨年と比較して、数値的にはほぼ変わらない結果となりました。
海外からは批判の声もある現在の技能実習制度ですが、3年間の実習を満了し、帰国した実習生にとっては有益な制度であったといえるでしょう。
技能実習制度の目的でもある「技術の海外移転」に関しても、「修得した技能が役に立った」と答えた者、帰国後に実習と同じ、もしくは同種の仕事についている者の割合が共に約7割という結果が示しているように、日本の技術が技能実習生の母国でも活かされています。
単なる出稼ぎ制度ではなく、技術や日本語を真剣に学ぶ気持ちを3年間持ち続けて頑張れば、彼らの将来にとって大きな希望となる制度といえます。
帰国してから、修得した技術を活かして就職するも良し、日本語を活かして就職するも良し。
高齢化が進み、人材不足の日本にとっても、日本人に代わって汗を流してくれる彼らは今や無くてはならない大事な存在です。
私たちエヌ・ビー・シー協同組合は、技能実習生と実習実施者を繋ぐ監理団体として、実習生活の3年間をより有意義なものとできるよう日々サポートしてまいります。