これから技能実習生を受入れようとお考えの企業ご担当者様にとって、一番気になるのは「技能実習生を受入れて何か問題が起きないか」ということではないでしょうか。
技能実習生の受入れは、受入企業にとって大きなプロジェクトです。
受入れ前にしっかり不安を解消しておきましょう。
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今回は、技能実習生の受入れでよくある問題点を、受入企業を原因とするケース、技能実習生を原因とするケースに分け、解決方法をご紹介していきます。
しっかり不安を解消して受入れに臨みましょう。
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- この資料でわかること
- 技能実習生の国籍の選び方
- 技能実習生配属までの流れ
- 配属から2年目、3年目への移行方法
- 技能実習3号と特定技能の違い
01 技能実習生に関する問題点
技能実習生に関する問題点として、大きくわけて
- 受入企業に原因があって問題になるケース
- 技能実習生に原因があって問題になるケース
以上の2つのケースがあります。
それぞれのケースに分けてみていきましょう。
02 受入企業に原因があるケース
まず最初に、受入企業に原因があって問題となるケースです。
どのような問題が起きているかみてみましょう。
02-01 賃金に関する問題
賃金に関する問題として多いのが
- 最低賃金を守っていない
- 残業代を支払っていない
- 深夜・休日勤務に対する割増賃金を払っていない
といったものが挙げられます。
技能実習制度は技術の移転が目的とはいえ、技能実習生と受入企業は雇用契約を結びますので、当然ですが労働基準法に沿った内容で技能実習を行うことになります。
賃金をキチンと支払わないのは、故意であれうっかりミスであれ、雇用者にあるまじき行為であるといえます。
02-02 実習生への対応に関する問題
この問題は、主に技能実習生に対する暴力などがあげられます。
実習の現場で「指導」の名のもとに暴力をふるう、必要以上の暴言をはき高圧的な態度で接するなどの直接的な暴力もありますが、実習中にけがをしたのに労災隠しのために病院に行かせない、自由を奪うためにパスポートを取り上げるといった間接的な暴力もあります。
また、どう考えてもまだ理解出来ていないであろう日本のマナーなどを当然のように押し付けるのも、一種の暴力といってもいいかもしれません。
これら受入企業に原因があるケースを見てみると、この企業は受入れを行うべきではなかったといわざるを得ません。
また、技能実習生だけでなく日本人従業員にとっても、この企業はおそらくあまり働きやすい職場ではないのではないでしょうか。
03 技能実習生に原因があるケース
続いて、技能実習生に原因があって問題となるケースをみてみましょう。
03-01 実習の現場での問題
実習の現場での問題は、多くの場合が「言葉の壁」に起因します。
実習指導員が指示を出すと元気よく「ハイ」と返事をするものの、ほとんど理解しておらず全く違った作業をおこなっていた、わかないことがあっても意思の疎通ができず、質問もしないまま間違った内容で作業していた等、コミュニケーションが取れないことを原因とした問題です。
コミュニケーションが取れないために、日本人との交流もなく実習生同士でしか話をしないなど、あまり良い環境とはいえない実習現場となることもあります。
当然ですが、このような状態で多国籍での技能実習生の受入れをした場合は、その国同士で固まってしまい、風通しの悪い状況となってしまいます。
03-02 私生活での問題
技能実習生の私生活での問題は、大きく分けて3つあります。
まずは、寮周辺住民との問題です。
決められた曜日に出すべきゴミを曜日を守らずに出してしまったり、粗大ゴミや分別ゴミのルールを守らずにトラブルが発生することがあります。
また、夜中にも関わらず寮で大騒ぎをして苦情が寄せられるといったこともあります。
続いて交通事故です。
寮と実習先を自転車で往復していた道すがら、信号を確認せずに道路を渡ってしまい車と接触してしまった、また狭い道をスピードを落とさずに走行し出会いがしらで歩行者とぶつかってしまったなど、被害・加害の両方があります。
最後が事件に加担するケースです。
野菜や動物を盗んだといったニュースが報道されることもありますが、徒党を組んで窃盗を行ったり銀行口座やパスポートの売買、失踪しての不法就労も大きな問題です。
04 受入れ前に解決策を確認
受入企業を原因とする問題、技能実習生に原因がある問題を挙げてきました。
受入企業に原因があって問題になっているケースは、改善は簡単ではないでしょうか、強い意思があれば改善できるかもしれません。
もしも該当する問題があるようなら、このあとの解決策を参考に是非改善していきましょう。
技能実習生に原因があって問題となっているケースは、実はほとんどの場合解決することができます。
解決策を順にみていきましょう。
05 解決策:受入企業に原因があるケース
受入企業に原因がある場合は、改善にはかなりの努力が必要になるかもしれませんが、技能実習生を受入れる前にしっかり改善しておきましょう。
05-01 解決策:賃金に関する問題
故意に賃金を払わない、といった場合は、本当に心を入れ替えていただくしかありませんが、たまたまのうっかりで正しい賃金を支払わなかった、ということがあるかもしれません。
タイムカードを使用する、給料計算ソフトを導入するなど、人的なミスが発生しにくい仕組みを導入しましょう。
また、技能実習生自身でも給料明細を確認できるようにすれば、もしものミスもすぐに見つけられるでしょう。
監理団体のサポートスタッフに確認を依頼するのも解決策のひとつです。
05-02 解決策:実習生への対応に関する問題
例えば建築現場などで、もしもの時に大怪我となってしまうような実習現場においては、大きな声で怒鳴ったり、注意をするために手が出てしまったりといったことがあるかもしれません。
これは相手が技能実習生だからということではなく、日本人従業員であっても、おそらく同様の対応となるのでしょう。
危険を伴う現場であればある程度は仕方がない・・ということはありません。
現場の状況を技能実習生とも事前にしっかり共有し、もしものケースに陥らないようしっかり準備しましょう。
もちろん、それでも回避できない危険に直面するケースもあるかもしれませんが、日頃から信頼関係をしっかり築き、危機管理の情報を共有しておけば、その際の大声は「暴力」とは認識されることはないでしょう。
理解できない日本のマナーを押し付けるのも、これもおそらく日本人に対しても行われている悪い社風と考えられます。
自分より弱いものに対してそういった態度をとるような現場の環境は、どう考えても健全とはいえません。
しっかり従業員と向き合い、社内環境の刷新を図りましょう。
労災隠しのために病院に行かせない、自由を奪うためにパスポートを取り上げるといった行為は、すでに犯罪行為ですので、自浄効果が期待できないようであれば、労働基準監督署や信頼できる監理団体に相談しましょう。
06 解決策:技能実習生に原因があるケース
それでは、技能実習生に原因がある場合の解決策をみていきましょう。
06-01 解決策:実習の現場での問題
実習の現場でコミュニケーションがとれない、指示が伝わらない、日本人との交流がない、同じ国籍の実習生だけで固まってしまう・・配属されてすぐの技能実習生はなかなか日本語を上手に使うことはできませんので、放っておけばこのような状況に陥ってしまうかもしれません。
この問題を「言葉の壁」としてしまうと対応が難しく感じられますが、基本的に「日本人への指導法の発展形」として捉えるとスムーズに落とし込むことができるのではないでしょうか。
配属された技能実習生は、念願かなって日本にやってきました。やる気に満ち溢れています。
技能実習生たちのやる気を削ぐことなく、早く実習の現場に慣れさせてあげましょう。
コミュニケーションの問題はありますが、日本人の従業員から積極的に話しかけてあげましょう。
具体的な言葉の意味は分からなくても、好意的な態度は伝わりますし、信頼関係も築くことができます。
特に、技能実習指導員の方がその先陣を切って積極的に日本語で話しかけていけば、実習現場の雰囲気も良くなりますし技能実習生の日本語の習得も早くなることでしょう。
技能実習生の社内公用語を日本語に限定するのもひとつの方法です。
多国籍の技能実習生を受入れている場合は日本語でお互いコミュニケーションをとりますので、日本語能力も上がっていくでしょう。
もちろん技能実習生も十人十色ですので、それぞれ反応も違います。
実習の現場で日々技能実習生と向き合い、指導を続けている技能実習指導員の方々の声を集めましたので、ぜひご参考ください。
06-02 解決策:私生活での問題
実習の現場を離れた技能実習生の私生活での問題には、どう対応すればよいでしょうか。
技能実習生は入国前講習と入国後講習で、日本語に加えて日本で生活する上でのマナーや文化を学びますが、いかんせんその期間は短いため完全に習得することはできませんし、実際に配属された先での生活がその通りだとも限りません。
やはり経験することで覚えていくことが多くなりますが、しかし事前にトラブルになりそうなポイントを押さえておけば問題は最小限で済みます。
上で挙げた、ゴミ出し問題と騒音問題、住人でない外国人の頻繁な出入りはよくあるトラブルになります。
ゴミ出しのルールの徹底や、夜間の騒音を抑えること、不特定多数の住人の出入りは控える、加えて近隣住民との挨拶を欠かさないなど、ポイントを押さえて指導していきましょう。
技能実習生は、寮から実習先への往復に自転車を使用することが多くあります。
外国語と日本語ほどの違いはありませんが、交通ルールにも違いはあります。
二人乗りをしない、夜間はライトを点けるなどのルールの確認だけでなく、寮から実習先までの道すがらでの危険な個所、注意すべき個所も伝えておきましょう。
警察署で外国人を対象にした交通ルール教室が行われることもありますので、最寄りの警察署でそういった行事があれば積極的に参加することもお勧めします。
窃盗などの明らかな犯罪行為は、国籍に関わらず禁止行為だとの認識はありますが、「自分の国の田舎ではみんなやっていた」行為に関しては、特に罪の意識もなくやってしまうこともあり、例えば他人の家の池の鯉を取ってしまったり、その延長で、飼われている鶏を捕まえたりといったこともあるかもしれません。
寮の周りの環境によっては「動物をとってはいけない」ということも、しっかり伝えておきましょう。
犯罪行為の片棒を担がされる、銀行口座の売買といったケースは極端な例にはなりますが、きっかけはSNSでの勧誘が多いといわれています。
技能実習生が所持しているSNSのアカウントを日本人従業員がフォローし、日頃からそこを気軽にストレスが発散できる意見交換の場にしておくと、犯罪組織の接触も迂闊にはおこなわれないはずです。
いずれにせよ、私生活での問題を回避するためにも、実習での現場と同様に日頃からの密なコミュニケーションが欠かせませんが、特に活躍が期待されるのが生活指導員の方です。
日本にやってくる技能実習生の多くは20代の若者であるため、「日本における保護者」のような立場として技能実習生と接することが多くなりますが、例えばエヌ・ビー・シー協同組合の受入企業の中には、技能実習生の実家と手紙のやり取りをし、技能実習生と家族の両方に安心してもらう試みを行っているところもあります。
生活指導員の方のきめ細かい活躍があれば、技能実習生の日本での生活も有意義なものとなるはずです。
07 技能実習生をとりまく環境
2017年11月1日、技能実習制度はそれまでの旧制度から、「技能実習法」として改めて制定されました。
外国人技能実習機構が設立され、受入企業にも定期的に監査が入るようになり、企業では技能実習責任者と生活指導員の選任が義務付けられました。
新たな技能実習法により、上で挙げたような企業は監査でしっかりとした指導が入るようになりました。
加えて監理団体にも監査が入るようになり、悪質な監理団体の場合は認定の取り消しもおこなわれるようになり、技能実習生をとりまく環境はかなり良くなっているといえるでしょう。
技能実習生を受入れる場合、様々な問題が発生するケースがありますが、制度に則り健全な運用をしてさえいれば、ほとんどの場合解決できます。 問題が発生した場合も、わたしたち監理団体にご相談いただければ、解決にむけてしっかりとサポートしてまいります。
技能実習生の受入れにご不安な点やご不明な点などありましたら、ぜひお気軽にお問合せください。
いっしょに解決していきましょう。