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ベトナム人技能実習生の国民性や特徴を深堀り解説

出入国在留管理庁の発表した統計では、2024年末現在のベトナム人技能実習生の人数は212,141人です。 技能実習生全体の46.5%を占めており、技能実習制度において圧倒的な存在感を示しています。
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ベトナム人が日本を選び、日本企業もベトナム人を積極的に受け入れる背景には、ベトナム人特有の国民性や文化的背景、そして日本との良好な関係性があります。しかし一方、ベトナムの経済発展や円安の影響で、ベトナム人技能実習生を取り巻く環境にも変化が起こってきています。

本記事では、ベトナムの文化的背景から最新の受入れ事情、そして受入れの現場での実践的な対応方法まで、包括的に解説していきます。

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目次

ベトナムの基本情報

まずは地理や国民性などの基本情報についてみていきましょう。
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地理

ベトナムの国土は面積が約329,241平方キロメートルで、日本の5分の4ほどの大きさです。

ベトナムは温暖な国とイメージされることが多いですが、日本と同じようにS字状に南北に細長い形で、南北で気候も風土も大きく違います。北部は山岳地帯が広がり、冬は非常に寒くなります。南部は年間を通じて温暖な気候で、湿気が多く日射量が豊富です。

首都ハノイは北部に位置し、ベトナムの政治・文化の中心地です。
南部の中心都市はホーチミンです。昔は「サイゴン」とよばれていましたが、現在は建国の父の名前を取り「ホーチミン」とよばれています。

人口

2025年現在、ベトナムの総人口は約1億300万人といわれています。

近年、ベトナムは労働生産人口比率が高い「人口ボーナス期」を迎えました。労働人口の多さによって、著しい経済成長を遂げています。今後も人口は増え続けると予想されており、2050年ごろには約1億1,000万人になるといわれています。

人口が増える一方で、高齢者の割合も増えつつあり、その要因は1988年に導入された「ふたりっ子政策」にあるといわれています。 当時、ベトナム政府は人口抑制と貧困解消のため、出産は2人までにとどめることを奨励しました。 3人以上の出産でも厳しい罰則はありませんでしたが、想定以上に高齢化が進み、2017年にこの政策が撤廃されました。

高齢化社会がすぐそこまで迫っているベトナムでは、アジアの先進国とされる日本から多くのことを学ぶため、特に最近では「EPA」や「技能実習介護職」といった介護の分野に注目が集まっています。
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言語

ベトナムの公用語は「ベトナム語」です。
ベトナムは他民族国家ですが、総人口の87%を占めるキン族の母語が公用語として採用されており、他の民族もこのベトナム語を使用しています。

ベトナム語は中国語の影響が大きく、漢字由来の言葉がたくさんあります。例えば、「ありがとう」はベトナム語で「cảm ơn(カムオン)」ですが、漢字で書くと「感恩」と書きます。 また、漢字の音読みとベトナム語の発音が類似している言葉もあり、「古代」はベトナム語で「cổ đại(コーダイ)」です。

宗教

ベトナムでは信仰の自由が認められていますが、日本同様いわゆる無宗教とよばれる人も多くいます。しかし各都市には必ずといっていいほどお寺があって、旧正月の際には多くの参拝客が訪れます。一方クリスマスなど、仏教以外の宗教のイベントも祝うなど、ベトナムの宗教観は、わたしたち日本人にも馴染みやすいものといえます。

仏教のほかには、フランス統治の影響からキリスト教や、ベトナム南部発祥のカオダイ教という新興宗教が少数存在します。

食べ物

ベトナムの食べ物では、北部を中心にフォー(ライスヌードル)が有名です。また、南部ではフーティウという麺料理が人気があります。他にも、生春巻きやバインミー(ベトナム風サンドイッチ)なども有名です。

ベトナム人技能実習生が必ず持っている、ヌクマムという調味料をご存じでしょうか。これは魚醬の一種でナンプラーに似ていますが、エヌ・ビー・シー協同組合のベトナム人スタッフ曰く「ヌクマムとナンプラーは全然違います!」とのことで、ヌクマムの方が香りが強いそうです。 ベトナム人技能実習生の寮には、必ずといっていいほどこの調味料が置いてあり、この調味料で母国の味を再現しています。

平均収入

ベトナム統計総局によると月間平均所得は約4万5千円です。2010年と比較すると月間平均所得は3倍以上増えており、経済成長を実感できる数字となっています。

ただし、経済発展の恩恵をうけているのは主に都市部で、農村部との格差は約1.6倍あるといわれています。

ベトナムの国民性

日本企業がベトナム人を高く評価する理由の一つが、その国民性にあります。
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親日国

ベトナム人の多くは、日本に対して非常に良いイメージを持っています。これまで日本が多額のODAを提供し、インフラ整備や人材育成に貢献してきたという歴史的背景もありますが、日本のアニメや漫画に人気があったり、勤勉さや集団の和などの両国に共通する価値観に加え、日本の治安の良さや清潔な環境なども、日本への大きな魅力となっています。若者の間では「日本に行くこと」が憧れの対象にもなっており、日本の文化への憧憬から日本での技能実習を希望する人もたくさんいます。

手先が器用

ベトナム人は手先が器用で、縫製や刺繍などの伝統工芸が有名です。美しい陶器や漆器、アオザイなども観光客に人気があります。技能実習でも手先の器用さを活かし、製造業などの現場で活躍しています。

団結力がある

ベトナム人は家族や同族への帰属意識が強く、その価値観を大切にします。日本国内でもベトナム人同士のコミュニティが多く形成されていて、お互いが助け合いながら生活を送っています。受入れ企業様でも、技能実習生のことを会社全体で歓迎することが大切です。

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陽気な性格

ベトナム人は性格が陽気で楽観的な考えを持ち、明るく積極的に行動する傾向があります。おしゃべり好きでコミュニケーションを積極的にとるため、技能実習の現場でも日本人と親睦を深めることができるでしょう。

マイペース・計画性がない

ベトナム人は自分の気持ちに正直な方が多く、比較的マイペースです。また、その場の自分の気持ちに従って行動するため、計画性に乏しい傾向もあります。ベトナムは歴史上、戦争や植民地支配を経験したことから「今」が大事だという考えを持っている人が多いといわれています。行動力があるなど良い側面もありますが、飽きっぽい場合もあるため技能実習の現場では注意が必要かもしれません。

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ベトナム人技能実習生が増えた理由

ベトナム人技能実習生の数は、2010年代から右肩上がりで増加しており、現在は国別で1位となっています。

増加の理由は

  • ①中国人技能実習生の減少
  • ②歴史的・文化的関係
  • ③外貨の獲得手段

の3つが挙げられます。

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理由① 中国人技能実習生の減少

2010年代以前の技能実習生といえば中国人でした。しかし2003年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)により中国からの技能実習生受入れが停止する事態となり、代わってベトナムからの受入れが一気に増加しました。

SARSの流行が収まった後も、中国の経済発展に伴い中国人技能実習生の募集が難しくなり、そのままベトナムからの技能実習生の受入れが増えていきました。

理由② 日本との歴史的・文化的関係

日本とベトナムは戦後の経済援助などで多くの連携を取っており、そのことが日本に対して信頼感を持つ大きな要因となってきました。加えてアニメやマンガなどで日本文化に親しみがあり、さらに「日本は経済が発展している」「治安がよく生活環境が整っている」などの良いイメージから、日本での技能実習を希望する人が増えました。

理由③ 外貨獲得の手段

ベトナム政府は外貨獲得の手段として、ベトナム人の海外就労を支援しています。世界銀行の統計データによると、海外のベトナム人による母国への送金額は約1兆8348億円で、ベトナムのGDPの6.4%に相当します。
ベトナムの国策で外貨獲得の手段として技能実習が奨励され、数多くのベトナム人が技能実習生として来日しました。

近年のベトナム人技能実習生

近年のベトナムは著しい経済発展を遂げていることでも知られていますが、技能実習生にまつわる状況にも変化が起こっています。特にコロナ禍以降は、ベトナムの送出機関から「以前のように多数の応募を確保するのが難しくなった」という声を聞くようになりました。

ベトナム人技能実習生にまつわる状況について、ベトナム国内の変化と、技能実習の環境の変化という2つの観点から見ていきましょう。

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ベトナム人技能実習生の変化① ベトナム国内の変化

2010年代は日本での技能修得に加え、母国の家族の生活のために日本へ行くことを望み、技能実習への希望者が殺到していました。しかしベトナムの経済成長により、状況が変化しているようです。

国内の変化① ベトナム国内の所得増加

ベトナムでは経済発展に伴い、国内でもある程度の収入を得られるようになりました。現在都市部の月収は平均5〜6万円で、農村部の若者も都市部に出ればある程度の収入を得られるため、借金をしてまで海外へ出ていくメリットが薄れています。 そのため日本の技能実習ではなく、ベトナム国内の都市部に出て働くことを選ぶ若者が多くなっています。

国内の変化② 教育水準の向上

ベトナムでは大学進学率が上がっており、これも技能実習希望者が減少している要因になっています。2000年初頭には10%以下だった大学進学率が現在では30%前後といわれており、他国と比較するとまだ高くはありませんが、大学への進学希望者が増えてきています。

技能実習を希望するのは高卒以下の人がほとんどですので、教育水準と大学進学率の向上が、技能実習希望者が減少している要因の一つと考えられます。

国内の変化③ 都市部での就業機会の増加

現在ではベトナム国内でも都市部に出れば仕事がたくさんあり、若者は仕事を選べる状況になっています。 日本で技能実習を希望する場合でも、屋内の比較的軽作業の仕事は人気ですが、建設業や農業など、屋外で体力を使う仕事は募集が難しくなっています。

ベトナム人技能実習生の変化② 技能実習の環境の変化

国内の経済的な事情だけでなく、技能実習を取り巻く環境にも変化が起こっています。

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環境の変化① 日本以外での就業先の増加

ベトナムの若者が選ぶ就業先が、日本での技能実習だけでなくアジア各国や欧米になるケースが増えてきました。実力主義の労働環境を好むベトナム人のニーズや、円安の影響などから日本以外の選択肢が増えており、2022年からはオーストラリアもベトナム人労働者の受入れを開始しました。

日本での技能実習以外の選択肢が増えたこともベトナムの技能実習希望者が減少している要因のひとつです。

環境の変化② 他国と比較して来日前の経済負担大

2022年7月に発表された出入国在留管理庁の調査では、技能実習生が送出し機関又は仲介者へ支払った費用の総額は、国別でベトナムが一番多くなっています。 ベトナムはブローカーなど仲介業者を介した人材募集が一般的であるため、仲介費用が上増しされる分、他国よりも高くなる傾向があり技能実習へのインセンティブが下がる要因となっています。

国別実習生負担金的表

2025年現在のベトナム人技能実習生の状況

コロナ禍を契機にベトナムでの技能実習希望者が減少しましたが、2023年頃に状況が変わり、技能実習希望者が再び増加しました。どのような変化があったのでしょうか。

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ベトナム国内での企業活動規制

ベトナムでは企業活動の規制が厳しくなり、外資系の企業が相次いで撤退しています。企業の撤退に伴い失業者が増加し、都市部に流れたり国外での就労先を探しており、技能実習が再びクローズアップされている状況があります。

情勢不安による就労機会減少

従来はベトナム国外の就労先として、ヨーロッパも選択肢にありました。 しかし近年の情勢不安により、ヨーロッパでの就労機会が減少しました。就労先国の選択肢が少なくなったことも、日本での技能実習希望者の増加につながっています。

来日前の経済負担減少

2022年1月1日、「契約に基づいて海外で働くベトナム人労働者に関する法律」が施行されました。この法律は、海外で働くベトナム人の保護を目的とした法律で、保護の対象は技能実習生にも及んでいます。

新法では送出機関に支払う仲介費用の上限が「就業先の賃金の3ヶ月分まで」となり、さらに日本側から支払われる月額5,000円程度の「送出管理費」も含まれるため、技能実習生の負担額は賃金の3ヶ月分から送出管理費を差し引いた額となります。

従来も仲介費用の上限はありましたが、あまり守られていないのが実情でした。しかし新制度では罰則が厳しくなり、どの送出機関も厳密に守るようになっており、技能実習生の経済的負担が減ったことにより、技能実習への希望者が増加しました。

サービス料総額

とはいえ続く円安の影響

技能実習制度は国際貢献を目的とした制度とはいえ、母国への仕送りも大きな目的となっています。

円安の続く日本では母国への送金額が目減りしてしまうため、技能実習をおこなう経済的なメリットが年々下がってきています。加えて物価の高騰もあって日本での生活も決して楽ではないため、ベトナム人技能実習生を取り巻く経済状況は、以前厳しいものがあります。

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これからもベトナム人技能実習生を受け入れるために

ベトナムの状況は常に変化していますが、今後もベトナムから技能実習生を受け入れ続けるためには、何をすればよいのでしょうか。

給与設定が大事

一番重要となるのが賃金設定です。提示する給与が低ければ、募集が難しくなってしまいます。

ベトナムの技能実習生が希望する月の手取り額は、工場系の職種で1,000ドル(約15万円)、建設業や農業などでは1,200ドル(約18万円)とされています。 必ずしもこの希望通りの設定にする必要はありませんが、エヌ・ビー・シー協同組合では、基本給で手取り12万円以上に設定したうえで、ある程度の残業時間を確保していただくようお願いをしています。

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キャリアパスの提示

2024年末、特定技能で在留する国別人数では、ベトナムが133,478人と全体の47%を占めています。今後、技能実習から育成就労へと制度が変わっていく中、先駆的に特定技能の分野で活躍しているベトナム人の存在は、今後のキャリアパスとして大いに参考になるでしょう。

短期間の技能実習での受入れだけでなく、その後の長期的なビジョンを提示することができれば、むしろ向上心のある人材が集まりやすいといえます。

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まとめ

2024年末のデータでは、在日ベトナム人全体の数は634,361人で、中国に次いで2位となっています。今後、特定技能労働者を受け入れようとお考えの企業様の場合、国内で募集する場合はその母数の多さから、ベトナム人労働者を受け入れる可能性が高くなるでしょう。 会社としてベトナム人の雇用に慣れておくために、まずは監理団体からの手厚いサポートが受けられる、技能実習生の採用を検討してみてはいかがでしょうか。
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