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育成就労制度の工業製品製造業分野を徹底解説|技能実習との違いと企業がすべき準備とは 

2026年5月8日に公布された工業製品製造業分野の上乗せ基準告示により、製造業で外国人材を受け入れる際のルールが技能実習時代から大きく変わります。 受入れ企業様にとっての変更点は、以下のとおりです。

変更点技能実習(旧制度)育成就労(新制度)企業への影響
①受入れ対象の判定方法「職種・作業」で判定「業務区分」+「産業分類」の2軸で判定業務の柔軟性が向上する一方、産業分類の該当確認が必須に
②加入先協議会へ直接加入登録法人の構成員として間接加入手続きの窓口が集約される一方、加入手続き・費用が発生
③行政の関与主にOTIT(外国人技能実習機構)が監督経済産業大臣による指導・報告徴収・現地調査が追加コンプライアンス体制の強化が求められる

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この資料でわかること
・技能実習から育成就労で「何が変わるのか」
・受入れ企業様にとってのメリット・デメリット
・制度施行までに準備すべきことと、そのスケジュール感
・上乗せ基準告示とは何か、なぜ工業製品製造業分野に必要なのか
目次

変更点1:受入れ対象の判定が「2軸」に変更

技能実習との違い

技能実習制度では、技能実習生が従事する業務が指定された「職種・作業」に該当しているかどうかで、受入れの可否が判断されていました。 たとえば「機械加工」「溶接」「プラスチック成形」といった細かい職種・作業の区分ごとに対応が決まっていました。

育成就労制度では、この判定方法が「業務区分」と「産業分類」の2軸に変わります。 具体的には、①育成就労外国人が従事する業務が17の業務区分のいずれかに該当すること、②育成就労事業所が告示で定められた76の産業分類のいずれかに該当すること、この両方を満たす必要があります。

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①17の業務区分(特定技能制度と共通)

No.業務区分備考
1機械金属加工鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、仕上げ、プラスチック成形、機械検査、機械保全、塗装、溶接、工業包装、強化プラスチック成形、金属熱処理業等
2電気電子機器組立て機械加工、仕上げ、プラスチック成形、プリント配線板製造、電子機器組立て、電気機器組立て、機械検査、機械保全、工業包装、強化プラスチック成形等
3金属表面処理めっき、アルミニウム陽極酸化処理等
4紙器・段ボール箱製造
5コンクリート製品製造
6RPF製造
7陶磁器製品製造
8印刷・製本
9溶接
10縫製
11電線・ケーブル製造2026年1月閣議決定で追加
12プレハブ住宅製品製造同上
13家具製造同上
14定形・不定形耐火物製造同上
15生コンクリート製造同上
16ゴム製品製造同上
17かばん製造同上

※No.11〜17は2026年1月23日閣議決定により追加された業務区分です。

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②76の対象産業分類(告示第12条)

No.産業分類分類レベル
1繊維工業中分類11
2造作材製造業(建具を除く)細分類1221
3建築用木製組立材料製造業細分類1224
4家具製造業小分類131
5事務所用・店舗用装備品製造業細分類1391
6鏡縁・額縁製造業細分類1393
7他に分類されない家具・装備品製造業細分類1399(黒板、プラスチック製家具等に限る)
8パルプ製造業小分類141
9洋紙製造業細分類1421
10板紙製造業細分類1422
11機械すき和紙製造業細分類1423
12塗工紙製造業(印刷用紙を除く)細分類1431
13段ボール製造業細分類1432
14紙製品製造業小分類144
15紙製容器製造業小分類145
16その他のパルプ・紙・紙加工品製造業小分類149
17印刷・同関連業中分類15
18プラスチック製品製造業中分類18
19ゴム製品製造業中分類19
20かばん製造業小分類206
21生コンクリート製造業細分類2122
22コンクリート製品製造業細分類2123
23その他のセメント製品製造業細分類2129
24衛生陶器製造業細分類2141
25食卓用・ちゅう房用陶磁器製造業細分類2142
26陶磁器製置物製造業細分類2143
27陶磁器製タイル製造業細分類2146
28耐火れんが製造業細分類2151
29不定形耐火物製造業細分類2152
30鋳型製造業(中子を含む)細分類2194
31高炉による製鉄業細分類2211
32高炉によらない製鉄業細分類2212
33製鋼・製鋼圧延業小分類222
34熱間圧延業(鋼管、伸鉄を除く)細分類2231
35冷間圧延業(鋼管、伸鉄を除く)細分類2232
36鋼管製造業細分類2234
37磨棒鋼製造業細分類2236
38引抜鋼管製造業細分類2237
39鉄素形材製造業小分類225
40鉄鋼シャースリット業細分類2291

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No.産業分類分類レベル
41他に分類されない鉄鋼業細分類2299(鉄粉製造業に限る)
42アルミニウム・同合金圧延業(抽伸、押出しを含む)細分類2332
43電線・ケーブル製造業(光ファイバケーブルを除く)細分類2341
44非鉄金属素形材製造業小分類235
45機械刃物製造業細分類2422
46作業工具製造業細分類2424
47配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)細分類2431
48ガス機器・石油機器製造業細分類2432
49鉄骨製造業細分類2441
50建設用金属製品製造業(鉄骨を除く)細分類2442
51金属製サッシ・ドア製造業細分類2443
52鉄骨系プレハブ住宅製造業細分類2444
53製缶板金業細分類2446(高圧ガス用溶接容器・バルク貯槽及びドラム缶・ペール缶に限る)
54金属素形材製品製造業小分類245
55金属製品塗装業細分類2461
56溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)細分類2462
57電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)細分類2464
58金属熱処理業細分類2465
59その他の金属表面処理業細分類2469(アルミニウム陽極酸化処理業及びバフ研磨業に限る)
60くぎ製造業細分類2471
61その他の金属線製品製造業細分類2479(溶接材料製造業に限る)
62ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業小分類248
63他に分類されない金属製品製造業細分類2499(ドラム缶更生業、金属製はしご・脚立に限る)
64はん用機械器具製造業中分類25(消火器具・消火装置製造業を除く)
65生産用機械器具製造業中分類26
66業務用機械器具製造業中分類27(医療用機械器具・武器製造業を除く)
67電子部品・デバイス・電子回路製造業中分類28
68電気機械器具製造業中分類29(一部除外あり)
69情報通信機械器具製造業中分類30
70自動車・同附属品製造業小分類311
71航空機・同附属品製造業小分類314
72運動用具製造業細分類3253
73パレット製造業細分類3293
74工業用模型製造業細分類3295
75他に分類されないその他の製造業細分類3299(RPF製造業及び人体保護具製造業に限る)
76こん包業小分類484

※一部の産業分類には限定条件が付されています。詳細は告示の原文をご確認ください。

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企業にとってのメリット

業務の幅が広がります。 技能実習では「溶接」なら溶接の作業しかできませんでしたが、育成就労では「業務区分」の範囲内であれば、関連する複数の業務に従事させることが可能です。必須業務への従事時間は業務時間全体の3分の1以上という要件はありますが、それ以外の時間は同一業務区分内の他の業務にあてることができます。

対象かどうかの判断が明確になります。 76の産業分類は日本標準産業分類に基づいて具体的に列挙されているため、自社の事業所が対象に含まれるかどうかを客観的に判断できます。

注意すべき点

産業分類の該当確認は必ず行ってください。 対象76区分に含まれない産業分類の事業所では、工業製品製造業分野での育成就労外国人の受入れはできません。一部の分類には限定条件が付されているため(例:「他に分類されないその他の製造業」はRPF製造業及び人体保護具製造業のみ対象)、細分類レベルでの正確な照合が必要です。

技能実習で受入れができていた事業所が、育成就労では対象外になる可能性もあります。 経済産業省の資料でも、技能実習を活用していた事業所のうち、新制度の対象産業分類に含まれないケースがあることが確認されています。

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変更点2:「登録法人」を通じた加入に変更

技能実習との違い

技能実習制度では、受入れ企業様は分野別の協議会等に直接加入する形が基本でした。 育成就労制度の工業製品製造業分野では、受入れ企業様が分野別協議会に直接加入するのではなく、経済産業大臣の登録を受けた法人(登録法人)の構成員となることで、加入要件を満たす仕組みに変更されています。

登録法人は受入れ企業様でも監理支援機関でもなく、業界団体的な中間法人です。なお、特定技能制度においては2025年6月にJAIM(一般社団法人工業製品製造技能人材機構)が経済産業大臣の登録を受け、同様の役割を果たしています。

ただし、2026年6月時点で、育成就労制度における登録法人は正式には発表されていません。 今回の告示は登録法人の要件や手続きの「枠組み」を定めたものであり、具体的にどの法人が登録を受けるかは今後の経済産業省の発表を待つ必要があります。告示が求める要件(行動規範の策定・運用、対象産業の団体を構成員とすること、協議会への協力)はJAIMがすでに特定技能制度で行っている業務と重なる部分が多いため、JAIMが育成就労制度でも登録法人となる可能性は高いと考えられますが、確定情報ではない点にご留意ください。

企業にとってのメリット

手続きの窓口が集約されます。 登録法人が行動規範の策定や協議会との連携を一元的に担うため、個々の企業が協議会と直接やり取りする負担が軽減されます。特定技能ですでにJAIMに加入している企業様であれば、育成就労でも同様の窓口で対応できる可能性があります。

業界全体の受入れ水準が底上げされます。 登録法人が策定する行動規範を全構成員が遵守する仕組みのため、不適正な受入れを行う事業者が排除されやすくなり、業界全体の信頼性向上が期待できます。

注意すべき点

登録法人への加入手続きと費用が発生します。 特定技能制度におけるJAIMの運用を参考にすると、加入にあたっては賛助会員としての会費等が必要になることが見込まれます。育成就労制度における登録法人の確定および具体的な費用体系は、今後の経済産業省の発表を確認してください。

登録法人の行動規範を遵守する義務があります。 行動規範に違反した場合の措置等は、今後の運用の中で明確化されると見込まれます。

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変更点3:経済産業大臣による監督が強化された

技能実習との違い

技能実習制度では、監督の主体は主に外国人技能実習機構(OTIT)でした。 育成就労制度では、OTITに代わる外国人育成就労機構(予定)による監督に加え、工業製品製造業分野では経済産業大臣(またはその委託を受けた者)による指導・報告徴収・資料要求・意見聴取・現地調査等が上乗せされます。

企業にとってのメリット

行政の監督が強化されるということは、制度を適正に運用している企業様にとっては、不適正な事業者が排除され、公正な競争環境が整うことを意味します。

注意すべき点

現地調査への対応体制を整えてください。 告示では、経済産業大臣等が行う現地調査その他の業務に対して「必要な協力を行うこと」が要件とされています。育成就労外国人の労働環境、育成計画の実施状況等について、いつでも説明・提示できる体制を整えておくことが望ましいといえます。

繊維工業・印刷・ゴム製品・金属熱処理業・RPF製造業・こん包業の6産業に該当する事業所は、追加の対応が必要です。 これらの産業では、分野別協議会で協議が調った事項に関する措置を講じることが求められます。該当する企業様は、今後公表される協議事項の内容を注視してください。

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結局、企業にとって得なのか損なのか

結論としては、制度を正しく理解し、早期に準備を進める企業様にとってはメリットのほうが大きい変更です。 その理由を3点に整理します。

①業務の柔軟性が高まる 職種・作業の細かい縛りから解放され、業務区分の範囲内でより柔軟な人材活用が可能になります。これは現場の生産性向上に直結する変更です。

②特定技能への接続がスムーズになる 育成就労制度は特定技能制度との連続性を前提に設計されています。育成就労で技能の修得を進めた外国人材が、特定技能に移行して長期的に戦力として活躍するキャリアパスが制度として整備されます。

③対象範囲が明確になった 76の産業分類が告示で明文化されたことで、「自社が受入れ対象かどうか」を客観的に判断できるようになりました。あいまいさが減ることは、企業にとっての予見可能性を高めます。

一方で、登録法人への加入手続きや費用、産業分類の該当確認、経済産業大臣への協力義務といった新たな実務負担が生じる点は見落とせません。 特に、技能実習で受入れていた事業所が新制度の産業分類に含まれないケースでは、受入れ自体ができなくなるリスクがあります。

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育成就労制度における「上乗せ基準告示」とは?

育成就労制度における「上乗せ基準告示」とは、育成就労制度の共通基準に加えて、分野ごとの特有の事情を踏まえて定められる追加基準のことです。

育成就労制度では、全分野に共通する基準(施行規則)のほか、各分野の所管省庁が独自の基準を告示として定めることが法令上認められています。工業製品製造業分野については、経済産業省が所管しており、2026年5月8日に上乗せ基準告示が公布されました。

この告示では、受入れ企業様(育成就労実施者)が満たすべき要件として、経済産業大臣の登録を受けた法人(登録法人)への加入や行動規範の遵守、分野別協議会への協力義務などが規定されています。

技能実習制度においても、工業製品製造業分野では製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への参加が求められていましたが、育成就労制度ではより体系的な枠組みへと整備されています。

上乗せ基準が設けられた背景

工業製品製造業分野は、全17分野の中で最も対象産業の幅が広く、繊維工業から自動車製造、電子部品まで76の産業分類にわたります。受入れ見込数も約11万人と大規模です。これだけ多様な産業と膨大な受入れ企業様を、全分野共通のルールだけで適正に管理することは現実的ではありません。対象範囲の明確化(76産業分類の列挙)、登録法人を介した一元管理、所管省庁である経済産業省の直接関与――これら3つの仕組みを上乗せすることで、製造業固有の課題に対応する設計となっています。

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今から始める3つの準備ステップ

2027年4月の制度施行まで残り1年を切りました。以下の3ステップで、計画的に準備を進めてください。

ステップ1:自社の産業分類を確認する 日本標準産業分類に照らして、自社の育成就労事業所が76区分のいずれに該当するかを確認してください。対象外の場合は、他の受入れ手段(特定技能など)の検討も必要になります。

ステップ2:登録法人・監理支援機関の情報を収集する 育成就労制度における登録法人は2026年6月時点で未発表です。経済産業省の公式発表を注視しつつ、新制度に対応した監理支援機関の選定も並行して進めてください。特定技能ですでにJAIMに加入している企業様は、育成就労での取扱いについても確認しておくことをお勧めします。

ステップ3:技能実習からの移行計画を策定する 2027年4月以降、技能実習の新規計画申請は行えません。在籍中の技能実習生の在留資格状況を把握し、育成就労制度への移行スケジュールを明確にしてください。

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まとめ

今回の上乗せ基準告示で明らかになったのは、育成就労制度が技能実習制度の「看板の架け替え」ではなく、受入れの仕組みそのものが変わるということです。 判定方法の2軸化、登録法人を介した加入、行政監督の強化いずれも受入れ企業様の実務に直接影響する変更です。

一方で、業務の柔軟性向上や特定技能へのキャリアパス整備など、適正に活用すれば企業にとって大きなメリットとなる制度設計がなされています。早い段階で自社への影響を把握し、必要な準備を進めていくことが重要です。

エヌ・ビー・シー協同組合では、育成就労制度への移行準備から監理支援体制の構築まで、一貫したサポートを提供しております。「自社の産業分類が対象に含まれるか確認したい」「登録法人への加入について相談したい」など、どのようなご相談でもお気軽にお問い合わせください。

⇒育成就労について詳しく聞いてみる 

【参考・出典】

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