外国人技能実習制度は1960年代ころから始まった研修制度を原型として、1993年に制度化されました。その後幾度かの改善を経て、2017年に新しい機能実習制度として生まれ変わりました。
今後、技能実習制度は新しいものに変わっていきますが、海外から若者を呼び寄せ育成するという制度の根幹は変わらない予定です。
※関連情報:【今こそ振り返ろう】技能実習制度の歴史
制度に関らず、自然と移り変わっていったのが技能実習生の主要送出し国です。今回は、技能実習生の主要送出し国の移り変わりについて、その理由も掘り下げながら見ていきましょう。
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【日本の外国人政策からみる『技能実習制度』の歴史】
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技能実習生主要送出し国
エヌ・ビー・シー協同組合は、2005年から本格的に技能実習制度に携わるようになりましたが、2005年当時、技能実習生の主要送出し国といえば中国でした。
技能実習生送出し国 中国からベトナムへ
2005年当時、技能実習生の送出し国といえば、まず第一に中国でした。
というよりも、中国人技能実習生しかいないといっても過言ではないほど、他国の技能実習生はわずかでした。
しかし2007年のリーマンショックによる世界的な金融恐慌、2011年の東日本大震災という未曽有の災害を乗り越えた2013年頃より、エヌ・ビー・シー協同組合では送出し主要国が中国からベトナムへとシフトしていきました。
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技能実習生の主要送出し国が中国からベトナムに移り変わったその背景には何があったのでしょうか。
主要送出し国の移り変わりの理由
主要送出し国ナンバーワンの座が中国からベトナムへと移り変わったその理由は大きくわけて2つあります。
主要送出し国移り変わりの理由① 貨幣価値ギャップの縮小
エヌ・ビー・シー協同組合が中国から技能実習生の受入れを始めた2005年当時、日本円と中国元の差は約10倍ありました。日本で手にした10万円が中国では100万円の価値があるわけですから、貨幣価値の差は来日への大きなモチベーションとなっていました。
2023年現在、日本円と中国元の貨幣価値の差は約2倍と、当時の約1/5にまで減少しています。
言葉が通じず生活環境も違う、そして知り合いもいない日本にやってくるには、魅力があるとはいえない状況です。
主要送出し国移り変わりの理由② 実習生のレベル低下
続いて来日する技能実習生たちの「質」に変化が起き始めました。
例えば、配属先で横柄な態度をとったり、規則を無視して自分勝手な振る舞いをする技能実習生が増えました。また、自転車を盗んで警察から連絡がきたり、近所の畑から農作物を盗んだと報告がはいったり、極端なケースでは宝石店に強盗に入ったという事例もありました。
こういった状況はエヌ・ビー・シー協同組合だけではなく、全国的に発生していました。
理由は相関関係
貨幣価値の差が縮まったことで来日へのモチベーションが下がり、技能実習生の質が変わったということ。
配属後も実習に身が入らず、金銭的な誘惑から犯罪などに手を染めてしまうということ。
この二つ理由には相関関係があり、受入れ企業様が送出し国を変更する大きな要因となりました。
その後新たな主要送出し国としてベトナムが台頭することとなります。
技能実習生の主要送出し国が移り変わった背景にはこのような出来事がありました。
現在のベトナムの状況は?
新たな主要送出し国となったベトナムですが、現状はどうなっているのでしょうか。
ベトナムが中国から主要送出し国ナンバーワンを奪取した当時は貨幣価値のギャップが約10倍ありましたが、現在は約5倍と小さくなってきています。また建設やとび職など、職種によっては募集をかけても応募者が集まらないこともあり、また集まったとしても以前のように技能実習へのモチベーションにあふれた人材でないケースも多々あります。
主要送出し国が中国からベトナムへと移り変わった状況を目の当たりにしてきたわたしたちには、これは移り変わりの前兆のようにも感じられます。
次なる国はミャンマー
中国、ベトナムに代わる技能実習生の主要送出し国は、いったいどの国になるのでしょうか。
現在、次なる主要送出し国として注目を集めているのはミャンマーです。
ミャンマーは親日国としても有名で、また敬虔な仏教国であり、国民性も日本人とよく似ているといわれます。またミャンマー語は日本語と文法が似ており、日本語習得能力が非常に高いともいわれています。
そして中国、ベトナムの当時と同様、日本円との貨幣価値の差が大きく、来日へのモチベーションが非常に高くなっています。この機会にミャンマーへの理解を深め、ミャンマー人技能実習生の受入れに備えてみてはいかがでしょうか。
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