技能実習生を受入れる際には
- ・技能実習責任者
- ・技能実習指導員
- ・生活指導員
これら3種類の役職者を選定する必要がありますが、今回はその中でも「技能実習指導員」の重要性について解説していきます。
01 その前に改めて、技能実習制度とは
技能実習指導員がどのような役割を果たしているかを解説する前に、技能実習制度について改めて確認しておきましょう。
技能実習制度とは、1993年に制定された、日本が国際貢献を果たすための制度です。
日本の技術をOJTを通じて開発途上国へ移転し、母国の発展に寄与する人材を育成することを目的としています。
技能実習では、定められた職種(86職種158作業※2022年6月現在)にしか従事することはできません。
また、職種ごとに「必ず実施すべき作業」が定められており、年間の労働時間の5割以上の時間をその作業に割く必要があります。
これらはすべて、「国際貢献」「人材育成」という技能実習制度の大切な目的を果たすために定められています。
国の発展に関わる作業に従事すること、定められた時間以上にその作業の場に身を置くこと、これらの制限は、単に日本に出稼ぎにきたのではなく、間違いなく母国の将来を担う人材に育成するという目的を果たすために設けられています。
さらに技能実習生は、技能検定試験に合格し、日々の実習で技術を習得していることを証明しなければなりません。
このように見ていくと、改めて技能実習制度とは、人身売買でもなく安価な労働力を得る手段でもなく、人材育成を目的とした制度であるということがよくわかります。
02 そして技能実習指導員が果たす役割
技能実習制度は人材育成を目的とした制度であることが改めて分かりました。
その中で、技能実習指導員が果たす役割は何なのでしょうか。
技能実習制度を運用していくためには、受入れ企業さまと技能実習生の他に、監理団体も大きな役割を担っています。
技能実習が計画通りに行われているかどうか、必須作業が時間通りに行われているかどうかなど、技能実習がしっかり運用されているかどうかの監査をおこない、さまざまなサポートを行っています。
しかし、技能実習生が本当に技能を身に付けているかどうかは監理団体には判断できません。
また、技能実習生が身に付けるべき技術を教えることもできません。
監理団体は技能実習を健全におこなうための監理をおこないますが、技能実習制度の大切な目的である人材育成は、受入れ企業さまでの実習によってでしか成しえません。
技能実習生に直接技術を教える役割を担っている技能実習指導員が、実際の現場で技術を指導することで、はじめて技能実習生は技術を習得できるのです。
03 技能実習指導員の大切な役割
具体的な技能実習指導員の役割・・・といっても、受入れる職種、受入れ企業さまによって違います。
職種、作業により必須作業が異なるため、教えるべき内容も当然違ってきます。
しかし、すべての技能実習指導員に共通する、大切な役割があります。
それは、技能実習生を技能検定合格へ導くことです。
03-01 目指せ合格!
技能実習生には、日頃の実習で技術を習得した証明として、技能検定での合格が課せられています。
配属されて1年目の技能実習1号の技能実習生は、技能検定の基礎級を受験し、合格する必要があります。
基礎級に合格すると、晴れて技能実習2号への扉が開きます。
技能実習2号の実習生は、来日して2年半頃に技能検定3級の技能検定を受験します。
これにも合格すると、さらに在留資格が2年延長される技能実習3号への移行が可能となるのです。
技能検定でおこなわれる実技試験は、日々の実習をしっかりこなした上で、試験に向けた対策も必要な場合があります。
技能実習生が試験に合格するか否かは技能実習指導員にかかっているといっても過言ではありません。
03-02 長期の雇用に向けて
技能実習制度が新しくなり、優良認定をうけた企業さまでは技能実習3号の受入れも可能になりました。
技能実習が2号3年で終了していたころは、企業さまによっては技能検定3級以降の受験の意味合いが薄いこともありましたが、今では優良の認定をされた企業さまでは技能実習が5年間継続可能となりましたので、さらに技能実習指導員の果たす役割が大きくなっています。
技能検定2級の合格は、具体的な何かは現在のところありませんが、今後特定技能への移行の際に活きてくる可能性もありますし、何よりそれだけの技術を習得したということは、技能実習生が母国に帰ってからの活躍に繋がっていくでしょうし、実習実施者として素晴らしい運用をされていることの証明にもなります。
04 技能実習指導員の人選
技能実習制度において大変重要な役割をになっている技能実習指導員は、どういった方が就任すればよいのでしょうか。
技能実習指導員の要件は以下のように定義されています。
- ①実習実施者の常勤の役員もしくは職員のうち、技能実習を行う事業所に所属する者
- ②習得等をさせようとする技能等について、5年以上の経験を有する者
②の5年以上の経験について「今の会社で5年以上の経験が必要ということですか?」という質問をいただくことが多いのですが「その職種での通算の経験」ですので、例えば前職が同じ職種で合計が5年以上であれば就任できますのでご安心ください。
技能実習指導員は、技能実習生の技術習得に大きな役割を果たしますので、実習生の人数によっては複数人の職員の方の選任をお勧めしています。
05 ワンランク上の技能実習生へ
人材育成を目的としている技能実習制度において、技能実習指導員の果たすべき役割の大きさがお判りいただけましたでしょうか。
実習指導員の方のご指導により、技術を身に付けた技能実習生が母国でさらなる活躍をするという、国際貢献に直結する役割を担っています。
さらに今、技術以外のプラスアルファを技能実習生が実習の現場で身に付け、母国や日本でさらに飛躍する人材に育つという、そういった事例も増えてきています。
そしてここでも技能実習指導員の方の活躍が欠かせません。
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