プライバシーとは「個人が私生活において他者からの干渉や侵害を受けない自由」や「他人に知られたくない自分の情報」のことです。
人と人との関係が希薄になることを憂う一方で、プライバシー権を侵害するなという声もあったりなど、程度の問題なのかな、などとも思いますが、技能実習生が妊娠を周りに打ち明けられずにひとりで出産し乳児を死亡させるという事件を見ると、単なる程度の問題で済ませる話ではありません。
01 より良い日本での生活のために
技能実習生が日本で生活していく上で、基本的な規則は必要です。
- ・部外者は寮に入れない
- ・火気に十分気を付ける
- ・寮が禁煙の場合、室内は元よりトイレでも煙草を吸ってはいけない
実習の現場での規則はもちろんですが、大きなトラブルにつながるのは私生活で発生した問題が原因となるケースが多いため、実習以外での規則も定める必要があります。
とはいえ、当然のことながら技能実習生にはプライバシー権がありますので、むやみに私生活に踏み込むことはできません。
02 実習生の巻き込まれるトラブル
同じ配属先の実習生同士でのトラブルであれば、実習の現場での様子などでうかがい知れることができますし、なにより実習指導員や他の社員の目もありますので、変化にも気付きやすく対応も容易におこなえたりします。
難しいのが、実習の現場に持ち込まないトラブルの場合で、配属先の企業さまが気付いたときには大きな問題になっていた、というケースがあり、その中でもっとも多いのが、実習生同士の恋愛に関するトラブルです。
02-01 実習生同士の恋愛事情
特に年齢の制限や指定はありませんが、母国を離れて日本で3年間実習をおこなうのはエネルギーがいることもあってか、技能実習生は20代の人数が最も多くなっています(外国人技能実習機構:2020年度年齢・男女別技能実習計画認定件数)。
若者イコール恋愛、という単純な話ではありませんが、SNSを利用して知り合った実習生同士で恋愛関係になるということもあり、当然のことですが、そのことを止める権利は企業や監理団体にはありませんし、何かしらの規制をかけるということもできません。
恋人ができることで実習にもさらに身が入ったり、将来の目的ができて意欲が高まるということも大いにあるのですが、男女間のもめ事により実習に悪影響をおよぼすということもあります。
わたしたちが監理してた企業さまでも、ある女性の実習生が体調不良を訴え、それがしばらく続いて病院で診断を受けたところ、実は妊娠していたというケースがありました。
企業さま、実習生といろいろ相談した結果、日本ではなく両親のいる本国で出産することが最善であるということになり、企業さまの理解もあって、冒頭のような悲劇に陥ることなく帰国をして無事出産することができました。
03 技能実習生を守るために
技能実習生にも厳然たるプライバシーがあり、それは当然しっかり守られるべき権利です。
しかし、技能実習生を守るためには、私生活にも目を向けなければなりません。
私生活にも目を配り、それが技能実習生のストレスにならないようにするには、日頃からの信頼関係構築が欠かせません。
- 受入企業さまは、
- 生活指導員の方を中心に、コミュニケーションを密にとり、ほんの些細なことでも相談できるような関係をつくること
- 技能実習生を「安い労働力」などという誤った認識をもたず、普段からリスペクトして接すること
- 監理団体は、
- 担当するサポートスタッフが実習生と信頼関係を築き、実習生と企業さまとの間を取り持つ役割を果たすこと
- 実習生が直接企業さまに伝えづらいことや相談しづらいことでも相談できる間柄になること
それぞれ2点が非常に大切です。
エヌ・ビー・シー協同組合では実習生と同国出身のサポートスタッフが対応していますので、特に相談しやすい関係を築くことができ、上のように母国での出産を果たすことができたということもあったのでしょう。
いずれにしましても、実習生をひとりの人間として認め、人として尊重することが何より大切です。
その上で、企業さまとわたしたち監理団体が協力して実習生をサポートする体制を構築することで、的確なアドバイスをあたえることができたり、相談を気軽にできる関係を築くことができ、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
エヌ・ビー・シー協同組合は、これからも技能実習制度の成功のためにサポートしてまいります。