技能実習責任者は、育成就労制度では「育成就労責任者」へと名称が変わり、事業所を統括管理する役割はそのまま引き継がれます。
一方で最も大きな変化は、これまで受講が任意だった指導員・生活相談員についても、育成就労責任者と同じく過去3年以内の養成講習の修了が義務付けられる点です。育成就労制度の施行日は2027年4月1日です。当面は技能実習制度の養成講習で代替できる経過措置が予定されています(2026年6月時点)。
▼関連情報
新制度「育成就労」とは?制度の内容と技能実習制度との違いを詳しく解説
| 役職(現行:技能実習) | 役職(育成就労) | 養成講習の扱い |
| 技能実習責任者 | 育成就労責任者 | 義務(継続) |
| 技能実習指導員 | 育成就労指導員 | 任意 → 義務化 |
| 生活指導員 | 生活相談員 | 任意 → 義務化 |
技能実習責任者から育成就労責任者へ
- この資料でわかること
- ・技能実習責任者から育成就労責任者へ|役割の連続性と変更点
- ・受入れ企業に必須となる3つの役職と、それぞれの選任要件
- ・任意から義務へ|3役職に広がる養成講習と当面の経過措置
- ・2027年4月の施行までに、受入れ企業様が準備すべき4ステップ
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技能実習責任者とは?現行制度での役割と要件
技能実習責任者とは、実習実施者(技能実習生を受け入れる企業)が事業所ごとに選任し、技能実習指導員・生活指導員その他の関係職員を監督して、技能実習全体を統括管理する責任者です。 技能実習法に基づき選任が義務付けられており、選任していなければ技能実習計画の認定を受けられません。
技能実習責任者になるための要件は、次の3点です。
- 1.実習実施者またはその常勤の役員もしくは職員であること
- 2.自己以外の技能実習指導員・生活指導員その他の関係職員を監督できる立場にあること
- 3.過去3年以内に技能実習責任者講習(養成講習)を修了していること
ここで押さえておきたいのが、養成講習の受講義務の範囲です。現行制度では、技能実習責任者は3年ごとに養成講習を受講することが法令上の義務とされています。
これに対して、技能実習指導員と生活指導員の養成講習の受講は義務ではなく、優良な実習実施者と判断されるための加点要件の一つにとどまっていました。つまり、従来の現場では「責任者は講習必須、指導員などは任意」という運用が一般的でした。
技能実習責任者講習は、講義と理解度テストを合わせて6時間で実施されます。技能実習法・入管法・労働関係法令・技能実習指導の行い方・労働災害防止といった内容を1日で学ぶ構成です。「3年ごとの受講証明」が、技能実習計画の認定申請に必須の書類となっています。
育成就労責任者へ|「変わること」と「変わらないこと」
育成就労責任者とは、育成就労制度において受入れ企業様(育成就労実施者)が事業所ごとに選任する、育成就労外国人の技能の修得と適正な就労を統括管理する責任者です。 技能実習責任者の役割を引き継ぐ位置づけであり、両者には明確な連続性があります。
変わらないこと
育成就労責任者は、技能実習責任者と同様に、常勤の役員または職員から選任し、過去3年以内に養成講習を修了している必要があります。事業所ごとの選任が必要であること、関係職員を監督して育成全体を統括する立場であることも共通しています。これまで技能実習責任者を選任・運用してきた企業様にとっては、体制の土台はそのまま活かせます。
変わること
育成就労制度は、技能の修得を通じた計画的な人材育成を正面に据えた制度として再設計されました。育成就労外国人ごとに育成就労計画を作成し、計画に沿って技能の修得を進めることが求められます。
これに伴い、現場で育成を担う指導員・生活相談員の役割が重みを増し、後述するとおり、これらの役職にも養成講習の受講が義務化されます。名称が変わるだけにとどまらない、体制面の実質的な変更がここにあります。
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受入れ企業に必須となる3役職と要件一覧
育成就労制度では、受入れ企業様の社内に次の3役職を選任することが求められます。それぞれの要件を整理します。
| 役職 | 主な選任要件 | 養成講習 |
| 育成就労責任者 | 常勤の役員または職員/関係職員を監督できる立場 | 過去3年以内の修了が義務 |
| 育成就労指導員 | 常勤職員/従事させる業務について5年以上の実務経験 | 過去3年以内の修了が義務 |
| 生活相談員 | 常勤の役員または職員 | 過去3年以内の修了が義務 |
ここで注意したいのは、育成就労指導員の実務経験要件です。従事させる業務について5年以上の実務経験が必要であり、この点は技能実習指導員と同様に維持されます。
「経験の長いベテランに任せれば足りる」という発想では対応できず、実務経験要件を満たし、かつ養成講習を修了した人材を確保する必要があります。3役職をそれぞれ別の人材で担うのか、兼任が可能かといった社内体制の検討も、早めに着手しておくと安心です。
養成講習の義務化と経過措置|注意すべき2つのポイント
育成就労制度では、育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員の3役職すべてに、過去3年以内の養成講習の修了が義務付けられます。 受入れ企業様にとって、これが移行で最も大きな実務上の変更点です。注意すべきポイントは2つあります。
ポイント1:義務の対象が1役職から3役職へ拡大する
現行の技能実習制度では、養成講習が義務だったのは技能実習責任者のみでした。しかし育成就労制度では、指導員・生活相談員についても受講が必須となります。
これまで「1名分」で済んでいた必須受講が、「最低3名分」の受講計画として必要になるため、受講にかかる工数・費用・日程調整の負担が増える点をあらかじめ見込んでおく必要があります。
ポイント2:当面は技能実習制度の養成講習で代替できる経過措置がある
ただし、2027年4月の施行と同時に新しい講習の受講がただちに求められるわけではありません。当分の間は、現行の技能実習制度における養成講習で代替できる予定です。すでに技能実習責任者講習などを修了している方は、その受講実績(3年間)を当面は活かせる見込みです。
なお、「当分の間」の具体的な期限や、新制度向けの講習へ完全に切り替わる時期については、2026年6月時点で運用の詳細が公表されていません。今後の告示・通知を確認のうえ、最新情報に基づいて計画を更新することをおすすめします。
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受入れ企業が施行前に進めるべき準備の4ステップ
施行までに受入れ企業様が進めておくべき準備を、4つのステップに整理します。
ステップ1:現在の体制を棚卸しする
現任の技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員について、氏名・常勤区分・養成講習の受講状況(受講日と有効期限)を一覧化します。誰がいつまでに再受講が必要かを可視化することが出発点です。
ステップ2:3役職の対象者を選定する
育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員の3役職について、要件を満たす人材を選定します。特に育成就労指導員は、従事させる業務について5年以上の実務経験が必要なため、要件を満たす人材が社内にいるかを早めに確認します。
ステップ3:養成講習の受講計画を立てる
選定した対象者の受講スケジュールを組みます。制度移行の前後には受講希望者が殺到し、予約が取りにくくなること(予約難)が予想されます。開催日程をこまめに確認し、前倒しで予約を進めるのがおすすめです。
ステップ4:監理支援機関へ相談・連携する
団体監理型で受け入れる場合は、監理支援機関(現行の監理団体に相当)と連携しながら準備を進めます。育成就労計画の作成や体制整備について、移行手続きの全体像を把握している支援先に早期に相談することで、抜け漏れを防ぎやすくなります。
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まとめ
技能実習責任者から育成就労責任者への移行について、押さえておくべき点を3つに整理します。
- 役割は継続、名称は変更:育成就労責任者は技能実習責任者の役割を引き継ぎ、統括管理の枠組みは維持されます。
- 講習義務が3役職へ拡大:これまで任意だった指導員・生活相談員にも、過去3年以内の養成講習修了が義務化されます。これが移行で最も大きな実務変更です。
- 早めの準備が鍵:当面は技能実習制度の養成講習で代替できる経過措置がある一方、対象者の選定と受講予約は前倒しで進めておくことが、施行後の円滑な運用につながります。
体制整備の進め方や、自社が今から着手すべき項目の整理について、専門スタッフがご相談に対応します。
エヌ・ビー・シー協同組合では、今回の制度変更を踏まえた最適な対応をご案内します。