今回は技能実習2号移行対象職種「牛豚食肉処理加工業」を深堀りしていきます。
01 【技能実習2号移行対象職種】牛豚食肉処理加工業
わたしたちの食卓をいろどる様々な食材のうち、丈夫な体を作るために欠かせない牛肉、豚肉を製造加工する作業が「牛豚食肉処理加工業」
になります。
具体的にどのような作業なのか見てみましょう。
01-01 牛豚部分肉製造工程
移行対象職種としての牛豚食肉処理加工職種において、牛豚部分肉製造工程は以下のように定義されています。
①【枝肉の管理作業】(枝肉の損傷防止、冷蔵庫から枝肉を搬出し、部分肉製造作業場へ枝肉搬入する作業)
↓
②【枝肉検品作業】(枝肉の損傷等を確認する作業)
↓
③【大分割作業】(原則として牛は4部位、豚は3部位に分割する作業)
↓
④【小分割作業】(脱骨作業)
↓
⑤【整形作業】(各部分肉の内側、外側に付着している血液、リンパ節、壁側胸膜、肉片、腱、靭帯及びその他汚染されている
ところの肉や 脂肪を除去して、商品形態を整える作業)
↓
⑥【検品作業】(金属探知機等による部分肉製品の検査作業)
↓
⑦【真空包装作業】(真空包装設備による包装作業)
このなかで、工程①②④⑤が技能実習1号、技能実習2号の必須作業となっており、工程⑥⑦は関連業務とされています。
また、工程③の【大分割作業】は技術的に高度な専門分野となるので、技能実習3号からの必須作業扱いとなっています。
01-02 枝肉?部分肉?精肉?
ここで見慣れない名称がいくつか出てきました。
枝肉、部分肉っていったいなんなのでしょうか。
【枝肉】
内蔵を取り除き2分割された肉のことをいいます。
天井から吊るされた様子が木の枝に似ているということで枝肉と呼ばれているそうです。
ロッキーがパンチをしていたアレ、でピンとくる人はどれくらいいるでしょうか。
【部分肉】
枝肉から骨や余分な脂肪などをとりのぞき、部位ごとに大きく分割した肉のカタマリが部分肉です。
ロース、もも、ばら、かたなどの部位の名前は、みなさんもよくご存知でしょう。
流通の過程においては、この部分肉の状態でおこなわれることが多くなっています。
【精肉】
部分肉からさらに分割、加工を加えたものが精肉です。
薄切りにしたり厚切りにしたりひき肉状にしたりして、販売調理しやすいものとなっています。
わたしたちが精肉店やスーパーで手にするのは大体がこのカタチになります。
出荷元から食卓に近づくにつれて、枝肉、部分肉、精肉に変化していく、といった流れになります。
加工の少ない、大きなカタマリの方が細菌が付着しづらく傷みにくいということで、以前は枝肉のままで流通していましたが、
最近では保存や包装の技術、コールドチェーンの発達にともない、部分肉での流通が大半になっています。
01-03 移行対象職種・作業とはならない業務
牛豚食肉処理加工業において、移行対象職種・作業とならないものは、以下の通りです。
1、牛豚の屠畜解体作業
2、牛豚の内蔵処理作業
3、ハム・ソーセージ・ベーコン製造作業
4、上記の関連作業及び周辺作業のみの場合
実習生が従事できる作業は「枝肉になった食肉」からのものであって、それ以前には携われないことになっています。
また、部分肉に加工する過程においても、内蔵処理はおこなうことができません。
「ハム・ソーセージ・ベーコン製造」や「食鳥処理加工」については、別で移行対象職種がありますので、「牛豚食肉処理加工業」
の対象外となります。
02 牛豚食肉処理加工業の必須作業~スーパーマーケットでも受け入れ可能?
続いて、牛豚食肉処理加工業の必須作業をみてみましょう。
(1)牛豚部分肉製造作業
①枝肉の取り扱い作業
1、枝肉搬入及び清掃作業
②骨付き部分肉の脱骨及び整形作業
1、作業台の準備点検作業
2、部分肉の脂肪トリミング等整形作業
3、脱骨整形後の骨及び脂肪の分別作業
③計量作業
1、骨及び脂肪の計量作業
④衛生管理作業
1、長靴、作業衣、防止、マスクの着用、毛髪等付着物の点検・除去作業
2、手、長靴等の洗浄・消毒作業
3、使用器具、容器等の洗浄、消毒作業
(2)安全衛生業務
①雇入れ時等の安全衛生教育
②作業開始前の安全確認作業
③牛豚食肉処理加工場における整理・整頓・清掃・清潔・習慣の遵守
④作業者間の安全確認作業
⑤保護具及び安全標識・装置の確認作業
⑥牛豚部分肉製造における事故・疫病予防
⑦労働衛生上の有害性を防止するための作業
⑧異常時の応急措置を習得するための作業
以上の通りとなっています。
さて、スーパーマーケットのバックヤードでお肉の加工をおこなっているケースがありますが、このスーパーでは牛豚食肉処理加工職種で
実習生の受け入れは可能でしょうか?
答えは、「牛豚肉を枝肉で仕入れていて、必須作業に該当する作業であれば可能」でした。
03 まとめ
いかがでしたでしょうか。
牛豚食肉処理加工業は、わたし達の生活に欠かせない大切な職種であることが再確認できたのではないでしょうか。
エヌ・ビー・シー協同組合には、食品製造業の組合員さまが多数在籍し、大勢の技能実習生たちが従事しており、豊富なノウハウでサポート
をおこなっています。
これからも、組合員さま、技能実習生、そして食卓のために、食品製造業を応援していきます。