企業さまが技能実習制度の導入を決め、外国人技能実習生の国籍を決定すると、いよいよ海外へ渡って現地での面接をおこなう運びとなります。
3年間、苦楽を共にして企業さまの技術を吸収する大切な技能実習生が、いったいどんな国でどんな環境で育ったのか、現地にわたり実際に肌で感じるのは大いに意味のあることだと、エヌ・ビー・シー協同組合では考えています。
ところが監理団体によっては、企業さまは立ち会わずに代理で面接をおこなったり、さらには採用面接をおこなわずに履歴書のみで受入れる技能実習生を決めてしまったりするような、そんな監理団体も中にはあるようです。
もちろん企業さまでどうしても都合がつかない場合など、仕方なくそのような対応をするのならわかります。
しかし常にそのような面接しかおこなわない監理団体は、はっきり申し上げて、企業さまへの寄り添い方が足りないとしかいえません。
「3年間共に働く仲間」を選んでいるという認識が欠けています。
その監理団体では組合職員の採用でもそんな選び方をするのでしょうか。
同じ監理団体の職員として非常に残念に感じると同時に、「中小企業の皆さまと共存共栄する」というエヌ・ビー・シー協同組合の理念を忘れず取り組んでまいりたいと思います。
さて今回は、外国人技能実習制度を成功させる最重要事項のひとつでもある『海外面接』についてご案内いたします。
まず海外面接の日程ですが、採用人数、試験内容によって異なります。
採用人数が6名前後の場合は、2泊3日または2泊4日で予定を組むことが多いです。
たとえばベトナムで海外面接をおこなったとすると、
- 初日
- ~ベトナム入国
- ・実技試験
- 2日目
- ・実技試験
- ・個人面接
- ・採用決定
- 3日目
- ・家族面談
- ・採用決定書の取り交わし
- ・送り出し機関の授業風景視察
- ~帰国
ひとつの一例ではありますが、大まかにはこのようなスケジュールになります。
大まかに書きましたので単純なように見えますが、じつは海外面接はかなり忙しかったりします。
※採用人数や国によって、3泊4日以上を計画することもあります。
まず初日と2日目におこなわれる実技試験ですが、50種類以上の試験の中からいくつかを選んでおこないます。
代表的なものですと、
【計算問題】【IQ問題】【鉛筆削り】【HMテスト】【クレペリンテスト】
【グループディスカッション】【豆運び】【間違え探し】【ジェンガ】
【紙飛行機作り】【のこぎり】【ペグ検査】【工業業務実技(溶接等)】
などがあります。
やみくもにたくさんの実技試験をおこなうのではなく、企業さまで必要とされる実技を選び、試験をおこなうことが大切です。
そして実技試験で最大のポイントともいえるのは、試験中の『態度を見ること』です。
具体的には、
・制限時間ギリギリまで諦めずに試験をしているか
・他の人が試験をしてるとき、待機しているときの態度はどうか
・試験中に質問や、発言があるか
・要領よくおこなっているか
・安全に気を付けて、丁寧におこなっているか
緊張しながら一所懸命取り組んでいるとき、現れてくるのがそれぞれの人間性です。
現れた人間性をしっかりと見抜く、これは日本人の面接と同じですね。
採用担当者様の腕の見せどころです!
2日目におこなわれる個人面接の質問内容は、大きく分けて
【実習生の性格を知る質問】【職務適正の質問】
【志望動機・成長意欲を知る質問】【家族の質問】
こちらの4つになります。
面接時の大切なポイントは、
・面接時間内に、出来るだけ技能実習候補者とコミュニケーションがとれるような明るい質問を用意すること
・本音を話して貰えるよう、フレンドリーに話かけること
これも日本での面接と同じです。
ある程度答えを用意しているであろう技能実習候補者の、より本音に近い部分を引き出して、選抜の材料にしていただければと思います。
そして最終日、採用決定した技能実習生たちの家族との面談がおこなわれます。
技能実習生がどのような家族に囲まれて育ったのかを知ることは、技能実習生本人を知るうえで大切なことです。
しかしなにより大切なことは、遠く離れた日本へ渡るわが子が、どんな人のもとで実習をおこなうのかを家族に知ってもらうことです。
実際におこなう技能実習はどのようなものなのか、日本での生活はどのようになるのか、どんな人と共に3年間過ごすのか。
そういったことを知ることで、家族はどれほど安心するでしょう。
離れて暮らす家族が安心することで、日本にやってくる技能実習生もまた安心して、しっかり実習に打ち込むことができるのです。
2020年3月現在、新型コロナウイルスの影響により、感染予防策として現地へ渡っての面接をあきらめ、テレビ電話や動画をつかっての「Web面接」を利用される企業さまが増えています。
こういった状況下ですので致し方ないところではありますが、エヌ・ビー・シー協同組合は、平時であれば海外面接をお勧めしています。
実際に現地へおもむき、『採用する技能実習生の母国の文化に触れ』『技能実習生の家族とじっくり面談し、母国の家族に安心してもらう』
ことで、3年間の技能実習も実り多いものとなるはずです。
企業さまが技能実習生にしっかり歩み寄ることが、実習制度を成功させる秘訣といえるでしょう。
エヌ・ビー・シー協同組合も、そんな企業さまにしっかりと寄り添ってまいります。