2018年1月現在、外国人技能実習生の受入可能職種として77職種、139作業が存在します。
平成26年頃までは新たな職種が追加される事はほとんどありませんでした。
ところが、近年、次々と新たな職種が追加されてきました。
新職種として「介護」「ビルクリーニング」「自動車整備」などが追加されましたが、なかには「築炉」のように一風変わった職種もあります。
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数多くある職種の中で従来から存在する「建設系」の作業は受入需要がとても高く、これまでにも多くの技能実習生が来日しております。
その建設系の代表的な職種としては「とび」「鉄筋施工」「型枠施工」「建築大工」「左官」「建設機械施工」などがありますが、この「建設系職種」全般において、近年変化が生じてきております。
その変化とは、技能実習生の受入を希望する業界の高いニーズに反して、同職種に希望する技能実習生の候補者が激減しているという現象です。
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2011年頃からは東北地方の復興関係、近年においては2020年に開催を控えているオリンピック・パラリンピック東京大会に向けての理由において、建設業界の外国人技能実習生の受け入れ数が総体的に増加致しました。
弊組合でも建設系企業の外国人技能実習生の受入数は急激に増え、その増加率はこれまでに例が無いほどの勢いがありました。
そして建設業界での需要は今でも継続的に上昇傾向にあります。
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しかし現在では、東南アジア各国にある現地送り出し機関が候補者の募集を募っても、面接に応募する人を十分に確保出来ず、面接の実施が困難であるとの回答がきてしまう状況です。
弊組合も再三にわたり募集を依頼しておりますが、候補者が確保出来ないというケースが多発しており、最終的に面接を断念したこともありました。
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何故各国の送り出し機関は候補者を確保出来ないのか?
この現象の原因はどこにあるのか?
現地に確認を取ってみると、このような回答が返ってきました。
ひとつの理由としては建設系企業における労働環境や暴力問題が原因のようです。
建設系企業で3年間の技能実習を終えた技能実習生が帰国し、日本で経験した労働時間形態や日本人社員との間で発生したトラブル(暴力問題や威圧的な接触)を周囲に話し、そのエピソードが時間の経過と共に尾ひれが付きながら各地に広まっていって、最終的に応募の妨げになっているという事でした。
弊組合は複数の送り出し機関と提携をしておりますが、各送り出し機関から同様の報告がきているところをみると、ある程度信ぴょう性のある話のようです。
現在、総体的に候補者の募集がかなり難しい状況であることは間違いありません。
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この募集難の状況は今後も継続されていく傾向にあり、将来的には建設業の需要に対して供給が追いついていかない事が予想されます。
建設系企業における、企業と技能実習生間のトラブル発生率は他の業種に比べて高く、そしてトラブルの中でも暴力問題が最も多く発生しているのが現状です。
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建設業において外国人技能実習生の存在は必須と言われております。
この負の現象を解消するためにも外国人技能実習生の受入れ方、社内体制のあり方などを再度見直す時期なのかもしれません。
弊組合も、今後も月一回以上の企業様巡回を欠かさず行い、健全な技能実習制度が実施されるようサポートしていきます。