エヌ・ビー・シー協同組合の組合員さまから、「配属中の技能実習生がN2試験に合格した」とのご連絡をいただきました。
日々の実習をおこないながら日本語の勉強をしてN2試験に合格するということは、生半可な努力ではなかったはずです。
ぜひお話を聞かせてほしいとお願いしたところ快諾いただき、N2に合格したホアさんと、受入企業の社長さまにお話をうかがいました。
100年企業の社長さまにお話をうかがいました
御社のことを教えて下さい
1919年に断熱材の製造会社として設立し、今年で101年目になります。 断熱材の製造と取り付けが主な業務です。
全国に9箇所事務所がありまして、約500人の作業員と職方のかたが働いてくれています。 社員はベトナム実習生をいれて約80人です。
技能実習をはじめたきっかけは何ですか
7年前にベトナムハノイで、保温協会で有志をつのってはじめました。 日本語の教育と安全教育や保温の技術を、半年くらいかけて送出し機関の中で勉強してもらっています。 加えて日本の習慣も勉強してもらいます。
会社が100年間続いてきた理由に、職方との盟友関係といいますか、外注業者と非常に仲良くやってきたということがあります。
わたしも4代目になるのですが、外注業者も3代目・4代目のかたがいらっしゃって、ずっと当社で仕事をしていただいているということで、職方との関係が非常にうまくいっています。 その外注業者に、「ベトナム実習生を採用しませんか」という話しをしています。
実習生には、まずハノイで半年間、日本語教育と建設の安全や技術について勉強をしてもらっています。
日本語レベルもN5レベルまでしっかり教育して、それから協力会社に配属するというかたちをとっています。
ですので、日本に入国したらすぐに配属ということではなくて、半年以上、長ければ1年以上、日本語と建設に関するトレーニングをして、そこから協力会社に配属します。
われわれ建設業界は安全監理を特に厳しくおこなうので、作業車の運転などを全部マスターしてから現場に入ってもらうようにしています。
初めて実習生を受け入れた時のことを教えて下さい
受け入れた最初は大変でした。 二期生、三期生と受け入れていき、実習生の先輩ができてくると、かなり楽になります。
要領を得た先輩が配属されてきた後輩を教えるようになるので、われわれ受け入れる側も負担が半分くらいになってきます。
わたしたちがやらなければいけないのは日本語教育です。
配属されても日本語教育を続けていまして、わたくしどもの協議会では3年間でかならずN3をとってもらうという目標をもっています。
こちらから働きかけていかないとなかなか自然に勉強できるわけじゃないので、必ず勉強してもらえるような環境をつくっていくというのが大切です。
いまは習慣になってしまったのでそんなに大変ではないですが、会社のみんなで交代交代で講師をして日本語を教えています。
わたしも月一回2回かは講師をやっています。毎週ってわけにはいかないですが。
N2だけは、特別に勉強会を去年から開いていまして、彼女はそこにきて一生懸命勉強してくれていました。
N3はみんな目標なんですけど、N2となると相当難しいんで、やはり勉強会できっかけをつくってもらって、週イチの勉強会をやってさらに家に帰っても勉強してもらって、その成果としてN2をとれたんじゃないかなと思います。
日本語講師を社長もされるのですか?
もちろんです(笑)
こういうのもやってると普通になってくるので、週一回、一時間半くらいはお付き合いさせてもらっています。
ヤル気もみなさんでてきますからね。
N2をとれば相当なメリットになります。本国に帰って日本語の先生もできますからね。
受け入れ当初のエピソードはありますか
受け入れ当初は、わたしたちも要領を得ていない部分もあって苦労しました。
たとえば現場に朝来なかったりとか、夜帰ってこなかったりとか、そういう子達も出てまいりまして、最初の頃は現場に朝行かせるということに非常に苦労したことを覚えています。
ベトナムは東南アジアの中では真面目と言われていますけれども、東南アジア自体が南の国で、非常におおらかな国家が多いですからね。
多分日本は世界一そういうところには厳しいので、それに慣れるまではベトナムの子も大変だったなと思います。
これも先輩ができると、先輩が起こして連れてきてくれるようになりますし、先輩にくっついて朝もやって来るので、何年かするとそういう苦労はほとんど無くなります。
日本人従業員への影響はありますか?
基本的には人手不足というか、少子高齢化の影響があって、わたくしたちの業界も職方の高齢化が進んでいます。
若い人が少ない中、実習生がきてくれたことで、現場の中で活気が出てきたりだとかそういうことはありますね。
副次的効果としては、当社社員は国内でしか仕事をやっていないものですから、海外の人と触れ合うことによって人間的に成長したのではないかというふうにも思います。
会社としてのコンプライアンスの意識は変わりましたか?
技能実習制度は国の法律の制度です。法律に則ってビザがおりますし、すべて法律が決まっているわけですから、それを守るのは当然のことです。
建設業界も認可制度ですから、非常に法律が厳しいところですので、そういった意味で法律を守るというのことは、建設業界はやっていけているのではないかと思います。
実習制度に関して将来の構想はありますか?
技能実習生から特定技能に、みなさんにいってもらいたいと思っています。
法律で従業員の10%20%は超えられないというそういう制約はあるにせよ、7年日本にいれば僕らの業界は一級技能士がとれますので、 その一級技能士を7年間でとってもらって、さらに日本で会社をつくるとか、ベトナムで会社をつくってもらうとか、そうなるように施しています。
といっても会社をつくって社長をやるのはそんなに簡単なことじゃないので、それはまあ大変なことだと思うんですけども、いずれは会社をつくってもらって協力会社になってもらいたいと思っています。
エヌ・ビー・シー協同組合を選んだ理由はなんですか?
エヌ・ビー・シーさんは・・・・・・・・・・・・・・・・近くにあったからね(笑)(それは冗談として)社長さんがハノイまで来ていただ
いて色々見ていただいたとか 非常に親切にやっていただけたんで大変満足しております。
(汗)わたしたちエヌ・ビー・シー協同組合に求めることはありますか?
わたしたちは、何でも丸任せにはしたくないと考えています。
監理団体へ全てお任せをするような体制だとうまく行かないと思うので。
当社は当社で、自分自身でやっていくんだという気持ちでやっています。
法律的なサポートはしていただきたいけれども、それ以外のところはレクリエーションとか、そういうメンタルヘルスのところはぼくらの組合で全部やっていこうという考えの方がいんじゃないかなと。
監理団体任せにしちゃうとうまくいきませんから、自社でやるべきところは自社でやる、ということを徹底していかないとうまくいかないと思います。
基本的には監理団体は僕らを監理するわけですからやってもらうわけではなくて 法律の施行を監理する立場ですから、あまり頼っちゃいけないと思うんですよ。
ただ、メンタルヘルスが一番怖いところなので、エヌ・ビー・シーさんのスタッフによるメンタルヘルスのサポートはありがたいですね。
今回は、エヌ・ビー・シー協同組合の組合員である100年企業の社長さまにお話をうかがいました。
お忙しい中インタビューに応じていただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。