在留資格の変更許可申請および在留期間の更新許可申請にかかる手数料(印紙代)が、2026年10月1日から引き上げられる予定です。現行は一律6,000円(オンライン申請5,500円)ですが、改定案では許可される在留期間に応じた段階制となり、窓口申請で最大7万5,000円となります。
なお、2026年8月時点で政令は公布されていません。金額および施行日は、政令の公布をもって確定します。本記事の金額は政令案に基づく数値としてお読みください。
▼関連記事
新制度「育成就労」とは?制度の内容と技能実習制度との違いを詳しく解説
在留申請の手数料(印紙代)が2026年10月値上げ
- この資料でわかること
- 2026年10月から、手数料はいくらになるのか
- 貴社の受入れ人数だと、年間いくら増えるのか
- 施行までに確認すべきことは何か
- 手数料は会社と本人、どちらが負担すべきか
エヌ・ビー・シー協同組合のサポート内容が分かる資料をダウンロードする
※個人情報入力の必要はありません。自動でダウンロードされます。
在留申請の手数料(印紙代)は2026年10月1日から引き上げ予定
引上げの施行予定日は2026年10月1日です。ただし、金額と施行日を定める政令は2026年8月時点で公布されておらず、確定していません。
在留申請の手数料とは、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可、永住許可などを受ける際に、外国人が国に納付する費用です。 収入印紙で納付するため、実務では「印紙代」と呼ばれます。
制度改正は次の2段階で進んでいます。
手順1|法律による上限額の引上げ(確定)
令和8年法律第32号が2026年5月29日に成立し、同年6月5日に公布されました。改正後の入管法第67条は、在留資格の変更許可および在留期間の更新許可について10万円、永住許可について30万円を、それぞれ手数料の上限額と定めています。施行日は、令和9年3月31日までの間において政令で定める日とされています。
出典:出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正法について」
手順2|政令による実際の金額の決定(未確定)
法律で「ここまで設定できる」という上限を決め、その範囲内で実際の金額を政令で定める仕組みです。 出入国在留管理庁は2026年7月3日に政令案を公表し、同日から8月2日まで意見公募手続(パブリックコメント)を実施しました。2026年8月時点で、政令はまだ公布されていません。
手数料引き上げの施行スケジュール解説資料をダウンロードする(無料)⇒
新旧料金の比較|変更・更新は最大7万5,000円、永住許可は20万円へ
政令案による改定後の手数料は、次のとおりです。
現行では一律6,000円でしたが、改定後は在留期間に応じて7区分へ細分化されます。
| 在留期間 | 現行(窓口/オンライン) | 改定案(窓口/オンライン) |
|---|---|---|
| 3月以下 | 6,000円/5,500円 | 10,000円/10,000円 |
| 3月を超え6月以下 | 6,000円/5,500円 | 18,000円/15,000円 |
| 6月を超え1年未満 | 6,000円/5,500円 | 25,000円/21,000円 |
| 1年 | 6,000円/5,500円 | 33,000円/27,000円 |
| 1年を超え3年未満 | 6,000円/5,500円 | 48,000円/42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 6,000円/5,500円 | 64,000円/56,000円 |
| 5年以上 | 6,000円/5,500円 | 75,000円/65,000円 |
| 永住許可 | 10,000円/— | 200,000円/— |
出典:出入国在留管理庁「意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について」
改定の特徴は3点です。
- 一律から段階制へ。許可される在留期間が長いほど手数料が高くなります。
- オンライン申請が優遇される。3月以下の区分を除き、オンライン申請は窓口より安く設定されています。差額は区分により4,000円から1万円です。
- 永住許可は窓口のみ。オンライン申請による割引の対象外です。
窓口とオンライン申請のコスト比較表をダウンロードする(無料)⇒
なぜ上がるのか|法定上限の引上げと政令案の関係を3分で整理
今回の改正で最も誤解されやすいのが、「上限額」と「実際に支払う額」の混同です。 報道では「永住許可が30万円」という数字が先行しましたが、30万円は法律が定める上限額であり、政令案が示す実際の額は20万円です。同様に、在留資格変更・在留期間更新の上限は10万円ですが、政令案の最高額は7万5,000円です。
なぜ引き上げるのか
引上げの理由は、手続にかかる費用を、その手続を利用する人が負担するという考え方(受益者負担)です。
改正後の入管法第67条第2項は、金額を決める際に次の3つを踏まえるよう定めています。
- 審査などの手続にかかる実際の費用
- 外国人が日本で安定して在留できるようにするための支援にかかる費用
- 諸外国における同じような手続の手数料の水準
審査事務にかかるコストと、外国人の受入れ環境の整備にかかるコストを、申請する側が分担する形に改める、という趣旨です。
減額・免除は誰が対象か
減額の対象となるのは、生活に困窮していること、かつ人道上の配慮が必要であることの両方に当てはまる方に限られます。
| 条件 | 内容 |
| 条件1 | 生活保護を受けている方など、生活に困窮していると認められること |
| 条件2 | 難民等の認定を受けた方など、人道上の配慮が必要と認められること |
出典:出入国在留管理庁「政令案に係るガイドライン(案)に関する意見公募手続」
政令案では、この2つのどちらか一方ではなく、両方に該当する場合に減額の対象となり得るとされています。想定されているのは、難民等の認定を受けた方や、人道的な配慮によって在留資格を変更する方です。
つまり、技能実習生や育成就労外国人が減額の対象となる仕組みではありません。受入れ企業様としては、減額は適用されない前提で費用を見込む必要があります。
なお、減額対象者の詳しい要件はガイドライン案の段階であり、2026年8月時点では確定していません。
技能実習生・育成就労外国人1名あたりの負担はいくら増えるのか
育成就労外国人1名を3年間受け入れた場合、申請手数料の負担は現行の6,000〜12,000円から48,000〜66,000円へと、5倍以上に増えます(政令案・窓口申請の場合)。
増える理由は、在留期間の更新や在留資格の変更が発生するたびに手数料がかかるためです。
具体的な内訳は次のとおりです。
育成就労外国人1名を3年間受け入れた場合(窓口申請)
育成就労制度における在留期間の付与運用は、2026年8月時点で公表されていません。最初は1年が付与され、その後の更新時に技能の修得状況等を踏まえて期間が決定される見通しとされているため、ここでは付与のされ方によって2つのケースを示します。
| ケース | 在留期間の付与 | 有料となる申請の回数 | 手数料合計 | 現行制度なら |
|---|---|---|---|---|
| 更新回数が少ないケース | 途中で1年を超える期間が付与される | 1回 | 48,000円 | 6,000円 |
| 毎年更新となるケース | 毎年1年ずつ付与される | 2回 | 66,000円 | 12,000円 |
育成就労3年+特定技能1号5年(通算8年)で継続的に受け入れた場合
| ケース | 有料となる申請の回数 | 手数料合計 | 現行制度なら | 増加額 |
|---|---|---|---|---|
| 更新回数が少ないケース | 6回 | 213,000円 | 36,000円 | 約18万円増 |
| 毎年更新となるケース | 7回 | 231,000円 | 42,000円 | 約19万円増 |
ここで注意すべきは、特定技能1号に付与される在留期間が1年、6月、4月のいずれかであり、1年を超える期間が付与されない点です。 つまり通算で見た場合、在留期間を長く取ることで申請回数を減らせる余地は限られます。仮に6月の在留期間が付与された場合、1回あたりの手数料は下がりますが、申請回数は倍になります。
受入れ人数別の年間の追加負担額(概算) (1年更新・窓口申請を想定)
| 受入れ人数 | 現行(年間) | 改定案(年間) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 10名 | 60,000円 | 330,000円 | 約27万円増 |
| 20名 | 120,000円 | 660,000円 | 約54万円増 |
| 30名 | 180,000円 | 990,000円 | 約81万円増 |
上記の試算は、2026年7月3日に公表された政令案の金額を前提とした概算です。実際の申請回数は個別の許可内容によって変動します。金額は政令の公布により確定します。
受入れ企業様が今すぐ確認すべき4つのこと
確認すべきことは、申請の時期、契約書の記載、申請が集中する案件のスケジュール、オンライン申請の体制の4点です。
確認1|2026年9月中の申請可否を確認する
2026年10月1日より前に在留資格の変更許可、在留期間の更新許可または永住許可の申請をしていた場合、同日以後に許可を受けるときであっても、納付する手数料は改正前の額となります。基準は許可の時点ではなく申請の時点です。 2026年内に更新期限を迎える方については、9月中の申請が可能かどうかを確認する価値があります。
確認2|見積書・契約書における実費の記載を確認する
手数料を実費として受入れ企業様に請求する契約形態の場合、金額が変動することを前提とした記載になっているかを確認します。固定額で記載されている場合は改定が必要です。
確認3|申請件数が集中する案件のスケジュールを確認する
合併や事業所の再編などで同時期に多数の申請が発生する案件は、施行日をまたぐかどうかで総額が大きく変わります。
確認4|オンライン申請の体制を確認する
政令案では、3月以下の区分を除き、オンライン申請のほうが窓口より安く設定されています。1年の在留期間であれば1件あたり6,000円の差です。30名規模であれば年間18万円の差額となるため、申請取次を委託している場合は、監理団体や登録支援機関がオンライン申請に対応しているかを確認しておくことが有効です。
育成就労制度の施行スケジュール完全解説ガイドをダウンロードする(無料)⇒
手数料は外国人本人に負担させてよいのか|法令上の整理と実務上の注意
改正後の入管法第67条第1項は「外国人は……手数料を納付しなければならない」と定めています。納付する義務を負うのは、外国人本人です。 そのため、本人に負担してもらうこと自体に、法令上の問題はありません。
ただし実務では、次の2点を確認する必要があります。
注意点1|会社負担から本人負担への変更は、労働条件の不利益変更にあたります
これまで会社が支払ってきた費用を本人負担に切り替えることは、労働条件の不利益変更にあたります。 就業規則や雇用契約書に会社負担と明記している場合はもちろん、書面がなくても会社が支払い続けてきた実態があれば同じです。
会社が一方的に決めて切り替えることはできません。次のいずれかの手順を踏む必要があります。
- 本人から個別に同意を得る
- 就業規則を変更し、その変更内容に合理性があることを説明できる状態にする
注意点2|育成就労制度の趣旨に沿った負担のあり方を考える
育成就労制度は、技能の修得を通じた人材育成を目的とする制度です。 1年ごとの更新で毎回33,000円(政令案・窓口申請の場合)を本人が負担する形は、給与の水準に対して小さい金額ではありません。
誰が負担するかの決め方は、受入れ体制が適正に運用されているかどうかの評価にもかかわります。金額の問題としてだけでなく、受入れの姿勢として整理しておく必要があります。
2026年10月1日までに整えておくこと
就業規則、雇用契約書、受入れに関する社内規程を点検し、手数料の負担者を明文で定めておくことをおすすめします。10月1日を過ぎてから変更するより、施行前に合意を整えておくほうが手続きは円滑に進みます。
育成就労制度への移行と合わせて見直すべき受入れコスト全体
育成就労制度への移行にあたって見直すべきなのは、手数料の増加分だけではありません。誰に申請を委託するか、どのような体制で受け入れるかが、そのまま手数料の総額を左右します。
今回の手数料改定は、2027年4月1日に施行される育成就労制度への移行と時期が重なります。 2026年10月に手数料が引き上げられ、その半年後に制度そのものが切り替わるという流れです。
育成就労制度では、現行の監理団体は監理支援機関(現行の監理団体に相当)としての許可を新たに取得する必要があり、自動的に移行することはできません。監理支援機関の許可に係る事前申請の受付は、2026年4月15日に開始されています。
受入れ企業様の視点で見ると、確認すべき点は次の3つです。
- 現在の監理団体が監理支援機関の許可を取得する見込みかどうか。 取得しない場合、2027年4月以降の受入れ体制を組み直す必要が生じます。
- 申請取次の体制。 オンライン申請への対応可否が、そのまま手数料の差額として表れます。
- 在留期間の適正な確保。 受入れ体制が適正に運用され、技能の修得が計画どおり進んでいることは、在留期間の付与にもかかわります。申請回数を抑えることは、コンプライアンス体制の整備と切り離せません。
2026年10月の手数料改定と2027年4月の育成就労制度施行は、受入れ体制を見直す絶好のタイミングといえるでしょう。