去る2024年11月1日、技能実習制度運用要領の一部が改正され、「やむを得ない事情」がある場合の転籍について、改善されました。
2024年11月1日の改正ポイント
今回は技能実習制度における「やむを得ない事情」がある場合の転籍に関する運用に対して、改正がなされました。
現行の運用の課題
現行の制度では、以下の3点について課題があるとされていました。
- ①該当性に関する課題
- 実習実施者における労使間の諸問題や対人関係の諸問題にどのような場合が当たるか不明瞭
- ②手続に関する課題
- 技能実習生と実習実施者の意見が食い違う場合には、転籍の手続に時間を要する
- ③生活支援に関する課題
- 転籍先を確保するまでの期間が長期化する場合の技能実習生に対する生活支援が不十分 など
今回の改善内容
今回の改正では、上に挙げた3つに関して改善されました
- ①該当性に関する課題への解決策⇒やむを得ない事情を明確化する
- ・暴行や各種ハラスメント(暴言、強迫・強要、セクハラ、マタハラ、パワハラなど)を受けている場合
※直接被害を受けた技能実習生だけでなく、同僚の技能実習生についても対象 - ・重大悪質な法令違反行為があった場合
- ・重大悪質な契約違反行為があった場合
※雇用契約等の条約又は待遇と実態に、社会通念上、技能実習を継続し難いと認められる相違があり、技能実習生が実習実施者に是正を申し入れたが、是正されない場合 - ⇒上記については、外国人技能実習機構において技能実習計画の認定審査に際し、適切に判断
- ②手続きに関する課題の解決策⇒手続きを明確化・柔軟化する
- ・技能実習生から実習実施者等へ転籍の申し入れを行うための母国語で記した様式を整備
- ・事実関係の調査については、事案に即して、技能実習生から提出された録音や写真等の資料により、やむを得ない事情があると認められる場合には、転籍可
- ③生活支援に関する課題への解決策⇒在留管理制度上の措置を行う
- ・転籍に向けた手続の期間中で技能実習を行えない場合には、必要に応じ、週28時間以内に限り、一般的な就労を認める
- ・転籍先の確保ができなかった場合で、「特定技能」への移行を希望する場合などには、「特定技能」へ移行するための特定活動を付与
まとめ
今回の改正により、やむを得ない場合の具体例が提示される等、より技能実習生が守られる内容へと改善されました。受入れ企業様におかれましても、これまで以上に健全な技能実習の運用をお心掛けください。
制度に関してご不明点などありましたら、お気軽に担当スタッフ、また事務局までお問い合わせください。
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