令和7年11月14日(木)に開催されました「第10回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針および分野別運用方針に関する有識者会議」の内容をもとに、現時点で示されている運用方針(案)をまとめました。
※会議で示された内容はあくまでも「案」であり、今後の議論で変更される可能性があります。
全体概要
日本の多くの産業で人手不足が続いていることから、外国人材の受入れは今後も重要な役割を担います。そのため、これまでの技能実習制度を見直し、「特定技能制度」と「育成就労制度」の2つを一体的に運用する方針が進められています。
第10回会議では「分野別運用方針」の詳細が整理され、技能水準、日本語能力水準、転籍(会社変更)の取り扱いなど、実務に直結する内容が示されました。
制度の目的
制度が目指す主なポイントは以下のとおりです。
- ・外国人が日本で安心して働きながら、段階的に技能を高め、長期的なキャリア形成ができるようにすること
- ・深刻な人手不足が続く産業分野における人材確保を支援すること
- ・従来制度で課題となっていた「転籍の硬直性」や「キャリア形成の不透明さ」を改善すること
特定技能制度は19分野、育成就労制度はこのうち17分野を対象とする方向で議論が進んでいます。
両制度に共通する事項(案)
- ・外国人の技能向上とキャリア形成の支援を重視すること
- ・日本語教育や資格取得を通じて成長を促すこと
- ・地方での受入れを促進し、大都市への集中を避けること
- ・法令違反がある受入れ機関には、在留資格認定証明書の交付停止等の措置がとられる可能性があること
産業分野ごとに受入れ見込数を設定する方針(※精査中)
育成就労制度に関する事項(案)
育成就労制度は、これまでの技能実習制度を発展させ、より教育・育成を重視した制度として設計されています。
人材に求められる水準(※分野により異なる)
- 【就労開始前の日本語】
- ・日本語能力水準の基準(詳細は分野別に設定)
- 【就労1年経過時の目安】
- ・技能:育成就労評価試験(初級)
- 【修了時の目安】
- ・技能:育成就労評価試験(専門級)
※日本語水準は分野ごとに「A2.1」「A2.2」のように細かく設定されています。
転籍(会社の変更)
- ・本人の希望による転籍(転職)が可能となる方向で整理
- ・転籍の制限期間は原則1年、最長2年(例:介護分野2年、宿泊1年、資源循環2年)
- ・転籍制限が1年を超える分野では、企業側に待遇向上(昇給等)の措置が義務付けられる方針
特定技能制度に関する事項(案)
人材に求められる水準
- 【特定技能1号(最長5年)】
- ・技能:特定技能1号評価試験 等
・日本語:A2.2相当以上 - 【特定技能2号(在留期限なし)】
- ・技能:特定技能2号評価試験 又は技能検定1級
・日本語:B1相当以上
- 【雇用形態】
- ・原則、直接雇用
- ・農業・漁業のみ労働者派遣を認める方針
- ・航空分野および鉄道分野では在籍型出向が認められる方向
まとめ
今回の第10回会議では、特定技能制度と育成就労制度の詳細な枠組みがより具体化され、技能水準・日本語水準・転籍制限期間・業務区分などが明確に整理されました。 特に、日本語能力水準が分野ごとに「A2.1/A2.2」まで細分化されたこと、介護分野の1年経過時はA2.2相当以上とされていること、特定技能2号の対象が分野ごとに明確化されつつあること、といった点が重要項目として整理されています。
今後も、新しい情報がありましたらお伝えしてまいります。